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ep158 ページ17

「……何が起こっているんですか」



つい先刻まで何の変哲もなかった“今日”は一つの報せを皮切りに崩れ去った。


――武装探偵社、指名手配


人質を抱えて立て籠もった挙句、惨殺した容疑で探偵社が追われている……?
真逆。……有り得ない。


「首領ッ!何が起こっているんですか」

「天人五衰が動き始めたのだろうね」


執務室に駆け込んだ私を一瞥し、そう云う首領。その何処か冷めた態度に思わず胸中が波立つ。


「……助けようとしないんですね」

無償(タダ)働きは平等(フェア)じゃないからね」


こんな時にまで合理主義か……。反吐が出る。

しかし首領の云っていることも正しいのだ。探偵社がポートマフィアと接点があることを知られれば無実の信憑性は薄弱になる。私達が無闇に手を差し伸べてはいけないのは事実。
しかも――――


「《猟犬》が動いてるそうですね」


最早、人造人間と云っても過言ではないほどの強靭な身体能力と異能を併せ持つ特殊制圧部隊。いくら武装探偵社と云えども対等に渡り合うことすら厳しいだろう。


だが一つ気になることがある。
《猟犬》が動くのだから余程の確信的な物的証拠がある筈だ。無実の彼等を指名手配にまで貶めるその“証拠”とは何なのか……そして如何にそんなものが偽造されたのか。

ふと思慮に耽っていると突如、首領の電話が鳴る。それを取った瞬間、彼の顔つきが変わったのを見て私は電話の相手を悟った。


「貴方にそこまで頼られては断れませんねぇ」


福沢社長だ。



「――――ご武運を……福沢殿」


通話を手短に終えて首領は鋭く云い放った。



「ヘリを出せ」

部屋の外では足音の駆けていく音がした。





「中原幹部に行かせるのでしょう?私も同乗させて下さい」

《猟犬》相手に生身で互角なのは中原幹部を含めて数名しか思い浮かばない。そしていくら《猟犬》と云えども所詮は重力の支配下だ。中原幹部が最も抑止力に効く最適解だ。



「……止めた処で聞かないのだろうね」

「よくご存知で」



悪びれもせずに答えた私に深い溜息が返ってきた。



 


「その判断は中原君に委ねよう」


私はその言葉を聞くや否や脱兎の勢いで部屋を去った。



 

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ギラッフェ(プロフ) - こゝろさん» はじめまして。コメントありがとうございます!応援とっても嬉しいです!これからも宜しくお願いします。 (2018年12月23日 17時) (レス) id: b3908f46f3 (このIDを非表示/違反報告)
こゝろ - とっても面白いですね!これからも頑張って下さい!更新楽しみにしております!…あの、ドストエフスキーの一人称は「私」ではなく『ぼく』ではないでしょうか? (2018年12月23日 10時) (レス) id: 383b340c0d (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます。お読みになりましたか!そうですよね、共有せずにはいられないほど衝撃的ですよね……。そろそろ更新しようと考えておりますので是非お待ち下さい。 (2018年12月17日 20時) (レス) id: 78a130b852 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 新刊読みました!!ヤバかったですね??この先の小説の続きも気になります!! (2018年12月17日 0時) (レス) id: 5a88057d9b (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - あやなさん、はじめまして。思いの込もったコメントをありがとうございます。こんなにも熱い応援をしてくださる方がいるんだと思うと胸が一杯になります。 銀魂の方も読んでくださってるんですね!本当に嬉しいです。これからも両作共々宜しくお願いします。 (2018年11月30日 17時) (レス) id: b3908f46f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年8月14日 9時

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