「虚無」 ページ28
沖田「どうしたんですかィ土方さん、記憶でも飛びましたか」
思わず困惑すると、相変わらず無表情な総悟が横から入ってくる。
土方「総悟、コイツの包帯を引っぺがしてくれるか」
沖田「…土方さん、アンタそんな歪んだ性癖が…」
土方「んな訳あるか！！いいからこの包帯を引っ張って取れっつってんだよ！」
沖田「へいへい」
人使いの荒いお人だ、と憎まれ口を叩きながらも総悟は陽斗の能面を外し、しゅるりと慣れた手つきで包帯を取っていく。
すると、やがて見えてきたその仮面と包帯の裏に隠されていたモノは…
沖田「！」
土方「…やっぱりか。道理で薬臭いと思ったぜ」
――薄い蝋の奥に閉じ込められた、死体。既に死後から何年、いや何十年も経っているのではないのだろうか。
男…陽斗とみられるその顔からは目玉が既に無くなっていて、まるで映画にでも出てくるミイラの様だった。
そして何より、心臓付近には風穴を開けられた痛々しい跡が残っている。
やはり陽斗は十数年前に覚醒してしまったフジに殺され、既に死んでいた。
生き返ってなど、いなかった。
いや、むしろ生き返っている、と思っていた俺達がおかしかったな。
そんな事有り得る訳がないのに。
沖田「旡条って奴は…一体、」
土方「フジを怖がらせる為、生きている様に見せかけたか…それか、精神病を患っているかだろうな」
俺には後者としか思えないが、中には残虐的な夜兎も多い。フジにとってのトラウマを再来させるには、これくらいやらないといけないのかもしれない。
沖田「しかし、その旡条って奴も相当イカれてますねィ…」
…俺達がそう死体を見ながらも考察をしていた、
その時だった。
ｶﾞﾝｯ！！
沖田「ひ、土方さん……ぐっ！！」
――刹那、眩しい光が点滅した。
それに続いたのは全身に伝わり、全ての神経が痺れるほどの痛み。
いつの間にか背後にいた部下の夜兎達に、俺は打撃を喰らっていた。
それに続いて目の前にいた総悟もまた手加減皆無の打撃をモロに喰らう。
やがて一緒に倒れ込むと、夜兎達は何も言わずに俺達の髪を引っ張り、どこかへと抱えていく。
クソッ、油断した…か…
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勇者の人(プロフ) - 紅蓮さん» 最終話はかなり長いのでゆっくりで大丈夫ですよ（笑）応援ありがとうございます、紅蓮様も頑張ってください！ (2020年10月22日 0時) (
レス) id: 0ba614db75 (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮(プロフ) - ぴえん。最近低浮上すぎて、途中のはなし読めてない……。頑張って読みます！更新頑張ってください！楽しみです！ (2020年10月21日 16時) (レス) id: 49c4edf061 (このIDを非表示/違反報告)
勇者の人(プロフ) - %さん» ようやくこのシリーズも終盤ですね、とても嬉しいコメントありがとうございます。これからも頑張って更新していきますのでどうかよろしくお願いします！ (2020年10月12日 19時) (レス) id: 0ba614db75 (このIDを非表示/違反報告)
% - うう…、遂に完結の道へと突き進んでいくんですね…。私の楽しみが無くなっていく…。菫ちゃんと結婚したかった…() 更新頑張ってくださいね、菫ちゃんも勇者の人様も微力ながら応援しております！ (2020年10月12日 18時) (レス) id: 42d505be3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：勇者の人 | 作成日時：2020年10月10日 15時
