happIness*2-34 ページ34
(翔side)
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荷物を置こうとソファに近づく、
家の中は乱れた様子はない、
どこもきちんと綺麗に整頓されていた。
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「っわ、」
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声を出して驚いたのは、寝室で眠っていると思っていた彼女が、
ソファの上で小さくなっていたからだった。
A？と名前を呼んで前に回り、膝をつく。
ぺたりと張り付いている髪の毛をそっと避けて顔を見れば、
形の良い眉が、苦しそうに歪んでいた。
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「A、」
「……、」
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名前を呼ぶが反応はない、
額も首筋も、汗をかいていて、
いつも白い頬はうっすらと赤身を帯びていた。
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首筋に手を伸ばす、ぴとりとそこに掌をあてると、じんわりと熱が伝わってきた。
風邪か？
……そういえば昨日、彼女は自分の部屋の窓際で眠っていたことを思い出す。
何も羽織らずに薄着だった、窓際は冷えるだろう。
風邪を引くとベッドに運んで布団をしっかりと掛けたけど、手遅れだったらしい。
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「汗すご、」
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どれだけ踊っても、汗をそれほどかかずに"代謝が悪いのかも"と笑っているAを思い出す。
立ち上がって体温計とタオルを掴んでまた戻る、
体勢も変えずに彼女は目を閉じたままだ。
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とりあえず額と首筋の汗を拭ってやって、体温計を差し込む。
そういえば部屋着ではないので、
カウンセリングには行くつもりで用意はしたのだろう。
行く前にダウンしたのか道中で気づいたのかはわからないけれど。
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機会音が鳴り、彼女の体温を測り終えたことを知らせてくれる。
"38.8"と表示されたそれに、思わず眉を潜めた。
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「マジか、」
「……、」
「A？大丈夫？聞こえる？」
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反応はない、状況から察するに薬も飲んでいないだろう。
これから病院……となると夜間救急か。
声が出ない彼女を１人では行かせられない、かといって
俺が付き添うわけにも行かない。
現実的に見れば彼女のマネージャーに同行してもらうべきだろう。
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と、ここまで考えて、
取りあえず担当タレントと連絡が着かず心配していた黒川さんに電話をする。
自分のマネージャーに……とも思ったけれど、
完全に二度手間になるのは分かっているので。
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何度目かのコールで出たその人は、
いくらか焦ったような声を出していて。
ほんと、父親みたいだなぁと、そんなことを思った。
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