happIness*2-18 ページ18
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真っ白な部屋にいる。
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床に座っている私は、真っ黒なワンピースを着ていた。
私は膝を抱えてそこに顔を埋めて目を閉じる。
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コツコツ、とどこからか足音が聞こえて、私はそっと顔を上げた。
遠くに見える人影は、間違いなく彼で、
立ち上がろうとした私を阻んだ足元の鎖を見下ろした
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「、」
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名前を呼ぼうと息を吸う、
当たり前に呼べていた彼の名前も、
音にならずに空気に溶けただけだった。
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鎖がどうにかならないかと、脚を闇雲に動かしてみるけど、
不快な音をたてるだけで、私を解放してくれそうにない。
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「……」
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ああ、ああ。
「絶望」って、こういうことを言うんだろう。
心臓の奥が、ギリギリと音をたてて潰されたように痛い。
息が詰まって、辛うじて吐いた細い息が震えた。
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遠くにいる、白い服を着た彼が、
白いワンピースを纏った誰かを手招きして、隣に置いた。
わたしじゃない、別のだれか。
白い彼の隣に立つ、白いだれか。
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苦しい、息ができない。
白い彼が、白いだれかの頬に手を伸ばす、
あぁ、ねぇ、いやだ、だれか、たすけて
こっちをみて、わたしにきづいて、
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「……、！」
「、」
「おい！A！」
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呼ばれた気がしてはっと目を開けた。
自分の息が荒くて、胸が大きく上下している、
目の前には私を覗き込む彼がいて、
あぁ、気づいてくれた、と思ったら涙が頬を滑り落ちた。
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「大丈夫？苦しそうだったから」
「……、」
「泣いてる……怖い夢でも見た？」
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こわいゆめ
あぁ、そう。夢だ、あれは、夢。
翔くんはいつだって私を見つけてくれるし、
わたしのことを好きでいてくれる。
私から離れていくことはないし、私以外の誰かを見つめることだってない。
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「……」
「A？」
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ほんとに？本当に、そうだろうか。
目の前にいる彼が、今の私を好きでいてくれる保証も、
理由も、根拠もなにもない。
なんの役にも立たない私を捨てる理由ならたくさんあるのに、
隣に置いておく理由なんて、私には何も思い浮かばなかった。
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「泣かないで、」
「、」
「目ぇ腫れちゃうよ」
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"明日も収録でしょ"
いつもならそう続くはずの言葉が今はない。
仕事も家事も、恋人としての役目も勤められない今の私に
価値なんてこれっぽっちもないことを思い知った。
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