happIness*2-46 ページ46
(翔side)
.
「っはぁ……探した、出掛けたのかと思った」
「、」
「ほんと心臓に悪い……体調どう？」
.
俺の問いかけに何も反応しないので、
シャワー浴びてたの？と質問を変える、
小さく頷くAに、そっか、と返事をする。
.
「薬飲んだ？あれ頭痛薬だから……こっちの風邪薬飲みな、頭いたい？」
「、」
「喉は？」
「、」
.
ふるふる、と小さくあたまを横に振られて、
じゃぁこれかな、と
市販の風邪薬の箱をあける。
.
「何か食おう、プリンあるよ、食べる？」
「……」
「A？」
.
ビニール袋からプリンを取り出す俺を見て、
Aが、ぽたぽたと涙を流していた。
……なんで、また。
泣くタイミングが全然分からない、眉を寄せてもう一度名前を呼ぶ。
.
「なんで泣くかなぁ……涙腺壊れちゃった？」
「、」
「こっちおいで、アイスもあるよ。どれにする？」
.
手招きすると、ゆらゆらとこちらに近づいてきて、
ほんとに遠慮しているみたいにシャツの裾を握られる、
甘えるのを躊躇するように、そのまま肩にとん、と額があたった。
.
もう一度、どれにする？と声を掛ける。
それは、とても甘くて優しい声で、自分でもびっくりした。
ああ、大切なんだなぁと思う、
俺は、自分が思っている以上に、
この女の子が、とても可愛くて大切なんだろう。
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小さく震える指でプリンを指差したAの頭を小さく撫でて、
それを握らせる、
一瞬戸惑うように動きを止めた彼女が、
もうひとつ同じのを手に取って、俺の掌に置いた。
.
「はは、かわいい」
「、」
「一緒に食べようか、おいで」
.
Aをソファに座らせて、スプーンを取りにキッチンへむかう。
ついでに買ってきたものは冷蔵庫と冷凍庫に入れた。
ちらりと、ソファの方を見る、
まるい頭が小さく揺れている。
.
「……また泣いてる」
「、」
「目、溶けちゃうよ」
.
ぐいぐいと親指で涙を拭う、
泣いてばかりで心配になってしまう。
食べれる？とスプーンを手渡しても、動かないので、蓋を取ってやる。
.
まるで、メンバーがやるような甘やかし。
絶対に見たら笑われる。
すくって、のろのろと口元に持っていく量が、
あまりにも少なくて、勘弁してくれ、と思った。
.
身体が勝手にAのスプーンを取り上げて、
適量すくって口元へ運ぶ。
ああ、ほんとに。
甘やかしてしまうから、勘弁してくれ……
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