happIness*2-45 ページ45
(翔side)
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朝からの取材は昼過ぎには終わり、
いつもなら次の現場までのんびりと昼食を取ったり、
早めに入ったりして時間を調整するのだけれど。
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「ごめん、俺１回帰るわ」
「送りますか？」
「いや、自分で……迎えだけ頼んで良い？」
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マネージャーの彼にそう伝えると、すぐに逆算をはじめて、
「16:30に行きます」とだけ返ってきた。
それに返事をして、朝運転してきた車に乗り込む、
途中で薬局に寄った、昨日飲ませた薬は風邪薬ではないので、
いくつか見繕って、あとは、彼女が食べそうなものを。
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ゼリー、プリン、おかゆ、果物、アイス。
元気な時だったら、喜んで食べそうなラインナップだ、
……最近はきっと、ろくに食べていないんだろうけど。
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"食べなかったら痩せるんだよ、"と
食事制限をしている時のAの言葉を不意に思い出す。
……だから何でそんな根性論で生きているんだ、
頼むから健康的に痩せて欲しい、と毎回思っていた。
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今も"寝たら治る"の根性論でベッドにいるだろう彼女を思い浮かべて、
ハンドルを握ってアクセルを踏んだ。
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数時間ぶりに帰宅して、寝室に向かったら、
ベッドの上はぺたんこで、
しわくちゃになったシーツに目を細める。
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「嘘だろ、どこいった」
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下がったとはいえ高熱だ、どこかに出かける元気はないだろう。
……いや、Aのことだから分からない、
普通に買い物に行ったりするかもしれない、
全く信用がないのは、「大丈夫」と言う彼女が大丈夫だったことがないからだ。
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Aの部屋をノックして、
返事がないので扉をあける、誰もいない。
一応窓辺まで覗いたけど、彼女はいなかった。
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はあ……とため息をつく、
出掛けた？病院に行った可能性は低い、自分から行くような人じゃない。
食べ物……も調達しないだろう、
だって用意しておいた小さなゼリーもそのままだった。
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リビングに戻ってもう一度息を吐いた時、
ぺたぺたとフローリングを歩く音が聞こえてきて、
はっと顔をあげる。
そこには風呂場から出てきたであろうAが、
きょとんとした顔でこちらを見ていた。
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