検索窓
今日:28 hit、昨日:16 hit、合計:218,723 hit

happIness*1-11 ページ11

(翔side)


.

もう、付き合ってどのくらいかを数えるのが億劫なほど、

長い時間一緒にいる。

記念日的なものに、彼女は少し疎くて、

2週間前までは覚えているくせに、当日になったらすっぽりと頭から抜けていたりする。


.


記念日を数えるには、少し面倒な付き合い方をしてしまったけど、

Aは一度も聞いて来ないので、

一応、2回目から、で数えるようにはしているけれど、

たぶん彼女にどうするか聞いても、あまり興味を示さずに「どっちでもいい」と言うだろう。


.


そういう所を、俺はすごく好ましく思っているし、

Aがどっちでもいいなら、どっちでもいいか、と納得してしまうはずだ。


.


時間が過ぎていく中で、彼女は「声」に出して伝えることができるようになった。

喜怒哀楽がハッキリしているAは、

表情や仕草にそれらがあらわれることが多い。


.


今まではそういうものを、読み取って接することが多かった。

隠すのが上手な彼女は、何もないみたいに笑うのが得意で、

だから俺は、それが溢れて止まらなくなる前に、

Aが本当に欲しいもの、望んでいるものを与える。


.


遠慮と不安と後ろめたさと。

そんな不安定なものたちの上でゆらゆらと揺れていたAは、

ここ数年で自分の気持ちと、してほしいこと、を

自分の声で、言葉で伝えてくる。


.


例えば、寂しいとか不安だとか、今拗ねてるとか。

寂しいから構ってほしい、不安だから話を聞いてほしい、

今拗ねているから機嫌を取ってほしい。


.

そんなことを、言葉と態度で伝えてくるAを見ると、

なんだかとても嬉しくて、

ついつい甘やかしてしまう。


.


6人でいるときは、それも他のメンバーの仕事になってしまうから、

2人のときだけ。


.


そんな些細なやり取りと、

小さな幸せを見つける毎日が当たり前になってしまって、

きっとこれからもずっと、一緒にいるんだろうと

そんな奇跡を疑いもしない。


.


静かな部屋を誤魔化すようにテレビをつけて、

キッチンに向かい冷蔵庫の扉を開くと、

プラスチックのボウルに、レタスとトマト、きゅうりがサラダとして入っていて、

その量に思わず苦笑する。


.


「…緑か」


.


今日はAが生放送のラジオの担当だったから、

もう少ししたら帰って来るだろう、

とそこから水だけ取りだして、

彼女の帰宅を大人しく待つことにした。


.

happIness*1-12→←happIness*1-10



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (532 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2006人がお気に入り
設定タグ:嵐・6人目 , 櫻井翔 , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夢乃 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年5月6日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。