happIness*1-7 ページ7
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笑ってしまうくらい雑な記事が出る度、呆れると同時に泣きたくなった。
本当の恋人がいるメンバーの名前が出てくること、
彼じゃない人と、付き合っていることにされること、
その度に5人が気にしていないように笑うこと。
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翔くんも、他のメンバーと付き合っているなんていう記事を信用なんかしていなくて、
怒ることも、責めることも、もちろん嫉妬することもなかった。
心の温度差がつらくて、だけどそれはどうしようもないことで、
それに気づいている彼が大丈夫だと笑うから、私も大丈夫だと言って笑う。
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本当は、ちっとも大丈夫なんかじゃないのに。
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「教えてくれてありがとう」
「うん」
「気を付けてキョロキョロしとく」
「いや…それはそれで怪しさ増すけど(笑)」
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ふへ、と後ろを振り返って笑えば、
翔くんが私のことを見下ろして優しく笑い返してくれた、
ついでに頭を撫でてくれるオプション付き。
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「うわあどうしよう」
「どうした？」
「すごく綺麗にできたかもしれない」
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まな板に移した卵焼きは、綺麗な黄色をしていて、
形も崩れていない、稀に見る模範的な卵焼きだった。
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「おお、すげ」
「ええ、すごい」
「A天才なんじゃん？」
「そうかもしれない」
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過大すぎる評価を有難く受け取っておきながら、
写真撮ろうかな、というと笑われた。
リビングの机に置きっぱなしになっているスマホを取って、
お皿に盛りつけた卵焼きを写真に収める。
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「どうすんの撮って(笑)」
「ブログに載せる」
「シュール…」
「みんなに上手にできたよ、って報告する」
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写真の使い道を説明したら、呆れたような顔をされたけど、
止められることもなかった。
ただ、あんまり周りが映らないようにしなよ、とは言われたけど。
メインは卵焼きな訳だし、キッチンが映りこむように撮るつもりもない、
そこまで馬鹿じゃないし、なにより平和に暮らしたい私は
自分から火の中に飛び込んでいくような行動、しない。
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今日の夕方にでもブログを書こうと思いながら、
スマホをポケットの中に仕舞って、再度朝ごはんの準備に取り掛かった。
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"記者がいたから気を付けて"
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翔くんが見たと言うことは、狙いは彼？
いや、もしかしたら私から彼に派生したのかもしれない、
そんなことを考える朝は、とても憂鬱だと思った。
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