5話 ページ6
「聞いて驚け虎杖君!!昨日、ヤ〇ザの所にお寿司を届けたんだよ!」
「えっマジ?!」
翌朝。教室にて。
朝7時には教室にいる虎杖君にどうしても昨日の話がしたくて、私は頑張って早起きした。
教室には虎杖君と私だけ。
ヤ〇ザに憧れを抱いている友達は虎杖君だけだ。
伏黒君や野薔薇に聞かれたりでもしたら、こいつアホか?という冷たい目で睨まれることだろう。
「どうだった?!日本刀とかあった?!」
「そこまでは見えなかった。でも、”ヤ〇ザです!”って感じの人達が沢山いたよ!」
予想通り食いついてくる虎杖君に、昨日見た人達の容姿を事細かく伝える。
あの優しそうな男の人の話になると、虎杖君は「糸目で高そうな着物着てるとか絶対偉い人じゃん!」と大興奮だった。
「しかもね?その人、高校生をこんな所に連れてきてしまったお詫びだ、ってお金くれたんだよ!」
「へー、いくら?」
「八万五千円。」
「八万五千円?!?!」
私の言葉をオウム返しにした虎杖君は、素っ頓狂な声を上げて飛び上がった。
ガタガタッと机や椅子が音を立てる。
「ヤ〇ザの財力って凄いよねー」
「いや…それはやばいデショ…」
昨日頂いた八万五千円は丁重に茶封筒の中に入れて、鍵付きの引き出しの中に大事に大事にしまってある。
原宿ショッピングでぱーっと使っちゃお!
楽しみだなぁ、と鼻歌を歌う私の顔を、虎杖君が心配そうに覗き込む。
「…お詫びの域超えてね…?なんか、見返りとか求められてるんじゃ…」
「えー、見返り?なんで?」
「例えば……Aがその人にめっちゃ気に入られたとか…」
「あはは、ナイナイ!だって私達、少し喋っただけだもん!」
虎杖君の言葉に私は大声で笑ってしまった。
私はあの男の人と三言くらい話しただけだ。
任侠映画に出てくるような、ナイスバディなお姉さんとは程遠い体型をしているし、一目見て気に入られるような容姿でもない。
「いやでも、A、気を付けろよ?ほんとに。
八万五千円のお礼をして欲しいんだけど…って言い寄ってくるって!絶対!」
「映画の見すぎだよ」
そんな風に話していれば、カラリと教室のドアが開いた。
「あ、伏黒君おはよー」
「伏黒おはよー!」
「あぁ、…おはよ。」
入ってきた伏黒君は短く返事をして席に着く。
私はそれを横目に虎杖君に耳打ちした。
「これ、二人だけの秘密だからね!」
「おう!」
私の言葉に、虎杖君は歯を見せて笑った。
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或 - 更新止まっちゃってる感じですかね…待ってます(泣) (2021年3月29日 23時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - 続き楽しみです! (2021年3月10日 21時) (レス) id: f345edd9e1 (このIDを非表示/違反報告)
或 - この作品の夏油さんに沼りました!更新楽しみにしてます!!! (2021年2月27日 20時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
蛹(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!頭が切れて策士で、人畜無害な笑顔で着々と夢主の外堀から埋めていく夏油傑大好きなんですよ〜!!!ぜひぜひ嵌ってください (2021年2月27日 16時) (レス) id: 3eead30ed0 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - やっべぇこの作品の夏油さんに嵌まりそう。てか嵌まらせて下さい← (2021年2月27日 10時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蛹 | 作成日時:2021年2月15日 22時