4話 ページ5
そんな風に目の前の男性を観察していると、ぎゅ、と手に何かを握らされた。
なんだろう?と視線を下に移すと、そこには大量の万札が。
一、二、、、、十枚はある。
「あ、えっと、お会計は一万五千円ですので、二万円お預かりしますね!」
「大丈夫。お釣りはいらないよ。」
「えっ!」
残りの八万円をお返ししようとすると、優しく手を掴まれて断られた。
初めて聞いた!「釣りはいらないから」ってやつ!
本当にあるんだ!!!
映画とかドラマとかで見たことはあっても、実際に遭遇したらどうすればいいのか分からない。
というか、商品の値段以上のお金をヤ〇ザからもらったら、あの心配性で臆病の板前さんが泡を吹いて倒れちゃうかもしれない。
何か見返りを求められてるんだ…!!と泣きわめくことだろう。容易に想像がつく。
「えっと、でも、板前さんに怒られちゃいます」
「大丈夫。君が貰っておけばいい。」
「えっ!!!いいんですか?!」
やんわり断ろうとすると、更に強くお金を握らされた。
次いで男の人の言葉に大袈裟な反応をしてしまう。
えっだって、八万五千円だよ?!
お洋服もコスメも沢山買えちゃう!
最近出た新作のリップ、高くて手が出せないなぁと思ってたけどあれも買えちゃう!!!
いつもショートサイズで我慢していたス〇バのキャラメルマキアートだって、トールサイズで飲めちゃう!
「君、見たところまだ高校生だろう?こんな所に連れてきてしまって悪かったね。これはその詫びだと思ってくれ。」
「いえいえ!仕事ですので!でも、ありがとうございます!」
仕事ですので!って言う言葉、1度言ってみたかったんだよなぁ。
本当はもっとカッコつけてキャリアウーマンぽく言ってみたかったのだけど、あいにくと私の視線は手の中の札束に釘付けで、全然カッコついてない。
「ありがとうございました!」
もう一度お礼を言って深々と頭を下げる。
そうして扉を閉めて、私は来た道を戻った。
今日は初めての体験だらけで楽しかったな〜
また注文してくれないかな?
今度はお家の中、もっとよく見たいなぁ
ドスとか日本刀とか拳銃とかあるのかな?
しかも、と手の中の札束に目を移す。
ヤ〇ザって本当はいい人なんだなぁ!
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「…彼女、全く怖がらなかったね。」
紫煙を燻らせ、男は笑う。
「面白い子だ。
少し、気になるな。」
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或 - 更新止まっちゃってる感じですかね…待ってます(泣) (2021年3月29日 23時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
白狐(プロフ) - 続き楽しみです! (2021年3月10日 21時) (レス) id: f345edd9e1 (このIDを非表示/違反報告)
或 - この作品の夏油さんに沼りました!更新楽しみにしてます!!! (2021年2月27日 20時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
蛹(プロフ) - 緑の白猫さん» コメントありがとうございます!頭が切れて策士で、人畜無害な笑顔で着々と夢主の外堀から埋めていく夏油傑大好きなんですよ〜!!!ぜひぜひ嵌ってください (2021年2月27日 16時) (レス) id: 3eead30ed0 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - やっべぇこの作品の夏油さんに嵌まりそう。てか嵌まらせて下さい← (2021年2月27日 10時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蛹 | 作成日時:2021年2月15日 22時