宵闇の羽、羅刹の焔。弐【文スト】

第45話 ページ5

と、言う訳でオレは今、件の研究室らしき部屋の前まで来ていた。

「……本当に研究室になってるとは…………」

いかにも頑丈そうな扉を前に、思わず呟く。

…………前にもこの辺りに来た事があるが、その時はまだ普通の部屋だった筈だ。

ドオォォン！！

「！？」

突然響いた爆発音。
続けて
「うははははは！」
というやけにテンションの高い笑い声が聞こえて来た。

「マジかよ…………」

予想の斜め上もいい所だ。

「……」

よし、帰ろう。
こんなあからさまにヤバそうな人と関わるのは流石に気が引ける。

早い所この場を去る為、足を踏み出そうとした時。

「！」

音を立てて研究室の扉が開かれた。
同時に部屋の内部に閉じ込められていた白煙が流れ出る。

徐々に足音が近付いて来ていた。
革靴の様な詰まった音ではなく、カランコロン、と言った効果音が似合う、軽快な音だ。

「おや」

そんな声が聞こえ、足音が途切れた。
段々と煙が薄れ、声の主の様子が認識出来る様になってくる。

まず見えたのは下駄。
次に裾がボロボロになった白衣、そして最後に目元を隠すゴーグルと眉の上で切り揃えられた前髪がオレの視界に飛び込んで来た。

煙が晴れる頃、オレの眼前には酷く奇抜な格好をした背の高い青年の姿があった。

青年は嗤う。

「初めて見る顔だけど……君は誰だい？」

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