宵闇の羽、羅刹の焔。弐【文スト】

第66話 ページ30

抗争の前線から離れた途端、緊迫感は急速に薄れる。

少しでも考える頭のある組織は苛烈を極めるミミックとの抗争に巻き込まれまいと早い段階でポートマフィアから距離をとっていたのだから当然と言えば当然で。
噛み付いてくる輩がぐっと減った今、前に比べて掃討に類する任務は激減している。

勿論、マフィアの仕事もそれだけではないから、ミミック以外の組織が大人しくなったからと言ってすることが無くなる訳じゃない。
けれどそのおかげで。オレは同じく前線を離脱した龍と共に、首領の言っていた集団を追うことに集中出来たんだ。

聞けば、彼等は襤褸を纏って異国語を話す──ミミックとよく似た特徴を備えているらしいが。
「別の集団だろうな」
「……何故そう思う」

龍の疑問ももっともだ。オレは指折ってそう考える根拠を並べ立てる。

一に、組織の規模。
ミミックは外から流れて来た傭兵崩れだ。
あくまでも美術館で聞いた話を鵜呑みにするなら……だけど、此処に着くまでの間にもかなりの人数が削られている筈。
対してオレ達が追っている組織はヨコハマ中に出没している。
こんなに沢山の人員を割ける訳がないのだ。

二に、目的。
ミミックの目的は既に明らか。
仮に謎の集団がミミックなら、今更ポートマフィアの周りを嗅ぎ回る様な真似はしないだろう。
それは抗争の初期段階で武器の奪取と共に行われているだろうから。

三に。

「──目立ち過ぎなんだよ」

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