第4話 ページ6
ふと、目が覚めた。
明るさに慣れてきた視界に天井が映り込んで、横になっているのだと理解する。
今までオレは寝ていたんだろうか。
「…………」
何気なく記憶を辿り始めて間もなく。
此処が何処なのかも、何故眠っていたのかも。
一切の見当がつかないことに気が付いた。
「目覚めたかえ?」
「っ!!」
焦って身体を起こしたのと同時に声を掛けられ、思わず硬直する。
心臓がばくばく鳴るまま。
ゆっくり首を巡らせると、着物姿の女性と目が合った。
どうやらこの人がオレに声を掛けたらしい。
とても綺麗な人だ。
女性はオレの方に歩み寄りながら、口を開く。
「そなた、一体どこから来たのじゃ?何故あんな場所に倒れておった?」
尋ねる、と言うより問い詰めると言った方がしっくり来る位の調子。
正直怖い。
でも…………「倒れていた」?
「あんな場所」って事は、オレは始めからここに居た訳じゃないのか……?
……ダメだ、全然分からない。
ひとまずここは正直に、
「──…………(ぐぎゅるるる……)」
口を開いた瞬間、盛大に腹が鳴った。
「「………………」」
二人してきょとんとした表情になる。
ぐうぅぅぅ……
再び腹の音が鳴る。どうやら鳴っているのはオレの腹らしい。
気付いた途端に恥ずかしさで顔が熱くなった。
「……質問の前に食事、じゃな」
クスクスと笑って女性がそう言った。
更にその人は続けた。
「部下に用意させようぞ。遠慮など要らぬ。何でも好きな物を言うが良い」
「…………」
これは何か言わなきゃいけないだろうか。
……。
…………好きな物?
好きな物……。
そうだな………………。
「──」
意外だったらしい。
「それで良いのか?」と聞かれたのでオレは頷いた。
「……判った。楽にして待っておれ」
そして女性はドアへと向かい、思い出した様に振り返った。
「そうじゃ、そなた、名は何と言う?」
「……
「真理か、良い名じゃ」
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fiest(フィエスト)(プロフ) - 怪盗MOONさん» コメントありがとうございます。不定期更新になっていますが頑張ります! (2019年12月29日 8時) (レス) id: 1f83ad1ac9 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗MOON - 怖い!姐さんが怖い!けど面白い!頑張ってください! (2019年12月28日 19時) (レス) id: a4bcfb41fb (このIDを非表示/違反報告)
fiest(フィエスト)(プロフ) - はらさん» ありがとうございます。外しておきました! (2018年4月23日 10時) (レス) id: c32790ae98 (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグ外して下さいねー (2018年4月22日 22時) (レス) id: 3032af9fae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fiest(フィエスト) x他1人 | 作成日時:2018年4月22日 21時