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「あれを毒にしてみましたが、まあ至って普通の藤と変わりなかったですね。珍しい種類なのは確かでしたが」
「なるほど。まあそういうこともあるさ。下がって良いよ」
「はい」


しのぶが退出するのを聞いてから産屋敷は庭に向いて側仕えの子供に告げた。


「鬼を連れた鬼狩り、竈門炭治郎を連れてきなさい。柱を集めて二人の判断に協力してもらう」
「はい」
「ああ、それから。Aも呼びなさい。
何せあの子は半鬼だ。
竈門禰豆子の処分次第では、Aの処刑もあり得るわけだからね」


鬼殺隊所属、階級は「甲」水瀬A。
数百体の鬼を切りながらも、柱にならない呼吸の系統不明の少女だ。
いや、少女と呼ぶのは似つかわしくない。
容姿こそ18ほどの若く美しい容貌だが、その実年齢は不明だ。
入隊記録には六十三年前と記されているが、それ以前に入隊時が何歳だったのがも明らかでない。
剣技に長け、上弦の鬼とも戦闘し生きて戻っている。
それでも柱にならないのは、呼吸の系統が不明な為だ。
刀身の色は白でも青でもない。
霞の呼吸でも水の呼吸でもなく、おおよそ近いものが分からない。
笑うことも泣くこともせずに淡々と鬼を切り続ける様は、隠や隊員にも恐れられた。
柱以外は基本招集のないのをいいことにひとところに少しも留まることなく街から街へ移動し続けている。


産屋敷は、Aを半鬼の娘と呼んだ。
水瀬Aは、純粋な人間ではない。
母親の胎内で鬼の血を混ぜられた半鬼半人として生まれ出た。
上弦に数えられることはなかった最も鬼舞辻に近い鬼は、Aの母だった。
臨月に入った頃、鬼舞辻の気まぐれにより大量の血を与えられた母親に待つのは、細胞破壊の後の悶絶の死であったはずだった。
それを防いだのは、胎にいたAだった。
鬼の血に適合する人間は数少ないが存在し、Aは適合した。血を調節していたAのお陰で、母親はすぐには死ななかった。
そしてAが生まれ出た瞬間に母親は死んだ。
大量の血を与えられた細胞から破壊され無惨に死にゆく胎内から生まれ出たAに産婆は腰を抜かし、子供が母親を殺して生まれ出たように感じた。

恐怖した父親と親族は子どもは流産したということにし、幌に包んで雨の中橋の下へ置き去った。

Aは事情を知らぬ髪結いの義父と義母に拾われ、貧乏であるものの不自由なく育った。
自分が拾われ子だと知っていたが、その分義両親に親孝行するような娘だ。

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moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年5月4日 6時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - ありがとうございます! (2019年7月18日 21時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - いえいえ!これからも頑張ってください!楽しみにしていますm(_ _)m (2019年7月18日 20時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - ありがとうございます!しまった!直しときます! (2019年7月18日 20時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 面白くて続きが気になります!更新頑張ってください!すこし気になったことがあります。胡蝶しのぶさんの表示なのですが、「忍」ではなく、平仮名だと思います。 (2019年7月18日 19時) (レス) id: 8142368f1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乾 巽 | 作成日時:2019年6月28日 17時

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