催花雨の隊士【鬼滅の刃】

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Aの言葉ははったりなどではない。
討伐数だけで言ってしまえば数百体を超える。まぁ６３年のキャリアだから文字通り年季が違うのだが。


「面白ぇ…やりあうか？」
「嫌よ、人と戦うのは嫌いだもの」


そもそもAの戦い方というのは対鬼であり対人ではない。
どれだけ素早く、痛みなく首を刎ねるか。
戸惑ってはいけない、力いっぱい振り抜いて一撃で。
攻撃を避け続けて生まれた隙に一撃で首を落す。
圧倒的に対人に向かない。


「前みたいに避け続けてもいいんだけど、実弥怒るでしょ？」
「当たり前だ！避けてばっかりで手合わせになりやしねぇ！
鬼が鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ？
そんなことはなァ…ありえねぇんだよ馬鹿がァ！」


実弥が刀を抜き、Aはとっさに木箱と刀の間に体を押し込んだ。
血飛沫をあげてAの右肩を貫いた刀身に実弥の顔色が変わった。
隊士同士の斬り合いはご法度、同士切りは隊律違反。


「Aさん！」


悲鳴のように声をあげたしのぶを手で制止し、掴んだ刀身を引き抜きながら実弥を睨みつけて怒鳴った。


「憎しみに囚われ相手を見定める目を曇らせるなど、
恥を知れ！
この子は誰も食っていない！」
「、鬼が人を喰わないなんて、信じられるか！」


このまま引き下がれば禰豆子はさらに傷つけられる。
自分の体のことを明かせば人を喰わない鬼の証明ができる。今までのようには鬼殺隊には居られなくなるだろうが。

胸に手を当て、Aは口を開いた。


「人を喰わない鬼の証明なら目の前にいる。

私自身がその証明よ」

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