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【〇〇 side】



.........東京って、夜でもこんなに暑いのか。



｢あっちぃ〜...｣



部活の帰り。練習試合で足の怪我をして、相手校のマネさんに軽く治療してもらっているうち、他の部員は先に帰ってしまっていた。.......なんて薄情なやつらだ。



気づけば20時近い。



帰りの電車を待つホームで、足をやすめるべくベンチを探す。



見つけたのは、3人がけのベンチ。右端にはサラリーマン。そして左端には、同世代くらいの魂の抜けた表情の男子。



.........大丈夫か。



とりあえず同世代に臭いと思われるのは避けたくて、全身にシーブリーズを塗りたくってからベンチに座る。



あぁ、今日も疲れたな.........。











｢｢...........いったぁ！！！！｣｣


突然走った鈍痛に、一気に目が覚める。どうやら隣の石頭と俺の頭がぶつかったらしい。見事にシンクロして思わず顔を見合わせるが、会釈をしてすぐ目をそらす。恥ずかし。


やべぇ.....寝ちゃった。時間を確認しようと、携帯を開く。



23:06。


｢｢はぁぁあああ？！やっっっっっば！！！！！｣｣


3時間？！？！そんなに寝てた？！？？


隣の彼も相当焦った様子でキョロキョロしている。


その時丁度電車が来た。俺は乗ろうと席を立つ。少し気になって隣の彼をみると、顔に絶望の色を浮かべている。


...........どうしよう。ほっとけない。



｢とりあえず.......乗れば？｣


俺が声を掛けると、少し動揺した後、俯いたまま｢ﾊｲ.......｣といった。






電車に乗り込んでも表情の暗い彼に、迷惑かなと思いつつも話しかけてみる。


｢あの.........大丈夫？家どこなの？間に合いそう？｣



俺が聞くと、小さな声で彼は答える。



｢し...........静岡...........｣






｢...............静岡ぁあ？！？！｣

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