【d!】空席はございません (ページ19)

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捧ぐ告解【sya】ページ19

今日はようやく彼女との再会が叶う日だというのに、俺は憂鬱な気分を抱えていた。
その原因は他ならぬ俺自身にあるというか…完全に俺が悪い。

Aは優しいというか、お人好しで。
どんなことでも笑って許してまう様な奴なんや。
例え自分がどんだけ傷ついてても、それでも笑って簡単に相手の事を許してまうんやから、ホンマ恐ろしい奴やで。

そんな彼女に、俺は甘えてたんやろうなあ。
俺、Aにひどいことばっか言ってきたんや。

『調子のってんとちゃうぞこら。』

『雑魚は雑魚らしく大人しくしとけや』

ああ、ほんま。
冗談、と一言で言ってしまうにはあまりにも横暴で理不尽な暴言。

後悔なんて何度もした。なんて事を、と自分を責めた日も何度もある。
けれどもそのたびにAが俺の事を許してくれるもんやから。
俺は自分が許されたって、勘違いしてもうたんやな。

離れて初めて、自分が彼女にしでかした事のでかさに気付かされた。

俺は、けじめをつけんとあかん。

「シャーオロン！部屋にいなかったと思ったら、こんなことろにいたんだね！」

ぐるぐると一人で思考をめぐらせていた俺。
そんな俺に、足音もたてずに本人が近付いてきたもんやから、あと少し気をぬいとったら俺はきっとホラー映画のヒロインも顔負けの悲鳴をあげていた事だろう。
まあ、なんとか寸でのところで悲鳴は回避したけども。

「ひっ、久しぶりやな。A」

「うん、久しぶり！やっと帰ってこれたよ！ね。はなそはなそ！」