仲間 ページ10
小学校の頃、授業参観が大嫌いだった。
『あれ?Aちゃんのお母さんは来てないの?』
『あぁー・・・ウチは両親居ないんだ』
『えっ!死んだの?』
『・・・・うん、そうなの』
違う。むしろそうならどれだけ良かったか。
親は夜逃げした。私を祖父母の家の前に捨てて。
おじいちゃんは親は海外に居るのだと言っていたが、十歳にもなれば自然とわかった。
いくら海外の仕事で忙しくても、普通親が子を十年も放置するだろうか。否。私は捨てられたのだと。
『ごめんね変な事聞いちゃって・・・・』
『いいって』
そんな会話も何十回。その度にヘラリと適当に笑って許した。
だが高校で、私は唯一の例外と出会う。
『へぇ、仲間だな』
『・・・・え?』
『俺んちも親居ねぇの』
沖田 総悟。イケメンで学校中の女子達から大人気の男子。
正直あまり好感は持てなかった。女の子は雌豚呼ばわりするわ授業も平気でサボるわ、性格の悪い問題児って感じ。
けど、そんな彼の意外な家庭事情に、自分の勝手な思い込みを恥じた。
『姉上も去年死んで、今は一人』
その悲しそうな瞳は、私と同じだったから。
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作者名:ミズキ | 作成日時:2018年1月29日 17時