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時は夏真っ盛り。
中学一年になってようやく落ち着いた頃。
瞳を開けば逃げ水の立つ道。
耳をすませば聞こえる蝉の合唱。
ここは
午前中は近所のお年寄りの方が来る。
しかし、午後はあまり人数は少ないの。
来るとしたら偶に近所の小、中、高校生くらいか
私はお父さんのお手伝いで学校が終わってからの店番を頼まれている。
いつもと変わらず扉を開け、店の奥のカウンターで本を読んでいる時だった。
暖かな風が吹き、風鈴の音が響いた。
人影を感じ顔を上げてみれば、そこにはメガネをかけた同じ歳か私よりも少し年上くらいの男の子が立っていた。
「いらっしゃいませ」
そういえば男の子は目を見開いた。
「...あの、」
「あ、いや、」
そこでフリーズしていた彼に声をかければ、ふっと焦ったような声を出す。
「あれ、その制服、桐先のですよね。私も桐先なんです。中等部一年の小戸森Aです」
彼の制服を見てみればあまりシワはない。
彼もきっと新一年生なんだろう。
「僕は竹早静弥。小鳥森と同じ一年だよ」
「竹早くんか、よろしくね」
こちらこそ、と微笑んだ竹早くん。
その後彼はしばらくお店の中を見て回っていた。
本に目を通しながら呟いた声はよく店内に響いた。
「ここ、とても居心地がいいね」
「そうでしょ、いつまでいても飽きないの」
和テイストな雰囲気の小鳥森古書店。
店内は明るくもなく、暗くもなく、といったちょうど良い明るさだ。
統一された色は多彩な本を強調しているようにも見える。
「ねぇ、竹早くん。」
「どうしたの」
静かな店内に二人の声が響いた。
「竹早くん、部活は入ってるの?」
「うん。弓道部に」
「弓道か...懐かしいなぁ」
懐かしい?と言いながら竹早くんは本を手に、カウンターへやってきた。
「私、小学校3年間だけ弓道、やってたんだ」
そういえば竹早くんは驚いたような表情。
引いているところ、見てみたいな、なんていう彼。
「竹早くん、どうして弓道やろうと思ったの」
彼は口元に手を当て、少し悩む素振りをした。
「そう、だね。みな...大切な幼馴染と、弓を引きたいから、かな」
小鳥森はどうして今弓道やってないの、と。
「うーん、緩み離れ...ってわかるかなぁ。」
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つな - 作者さんのお名前は鬼滅からですね。いつかツルネとキメツ学園のコラボ夢小説とか読んでみたいです。 (2020年12月12日 11時) (レス) id: 67b83bb171 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗花落 | 作成日時:2019年1月14日 12時