君の笑顔１０

346 ページ16

.



キスマイの皆さんに挨拶をして

自分の楽屋へと戻った。




生放送の歌番組が始まり

私は自分の楽屋でモニターを見る。




珍しいことに私は最後の方なんだよね〜




だから、

自分の出番がくるまでけっこうヒマ(笑)




楽屋から廊下をひょこって覗くと

スタッフさんやアーティストの皆さんが

みんなバタバタと走り回ってる




私だけだよ、

こんな暇そうにしてるの…(笑)





？「おっとっと…」




楽屋の中に戻ろうと

扉を閉めようとしたら

廊下のところでうずくまってる人




よく見ると、

けっこうお年がいったおじいちゃん




「大丈夫ですか！？」



お「大丈夫だよ、すまないね」




そのおじいちゃんは

飲み物とかたくさん持っていて

それを落としちゃったらしい。




「どこかに運ばれるんですか？」



お「あぁ、
ちょっと差し入れにきたんだけど…」



「よかったらお手伝いしますよ！」



お「いいのかい？」



「はいっ！！」




どうせヒマだし！笑




おじいちゃんの荷物を

持ってあげて一緒に歩き出す。




「お孫さんでも働いてるんですか？」



お「ははっ、そうだね。
孫みたいなもんかもね(笑)」



「こんな素敵なおじいさんがいて
そのお孫さんは幸せですね！」



お「…そうかい？笑」



「はい！私おじいちゃんいないから…
すごく羨ましいです！」



お「その割には、
年寄りへの扱いが慣れてるね(笑)」



「前に介護職をしていたので…
って、こんなこと言ったら失礼ですけど…(笑)」



お「ほぅ、それで…
何で歌手になったの？」



「歌手になるのはずっと夢で…
一度諦めたんですけど、
ある人に背中を押されて……
だからまたもう一度、
この夢に向かって頑張ったんです！」



お「……素敵な人に出会えたんだね」



「はいっ！
もうすごく素敵な人達なんです！！」



お「人達？」



「あ、いや…
友達…みたいなものです！
あの７人に出会えたから今の私がいます！」



お「……そうか。
ありがとう、ここで大丈夫だよ」



「あ、はい！
色々とすみません！」



お「いや、こちらこそ、話聞けてよかったよ。
じゃあ本番頑張ってね。Aさん」



「え？」





そのおじいちゃんは

そう言って部屋の中に入っていった。



私、名前言ったっけ？？



あれ、そもそも何で私が歌手だって

知っていたのかな？？




うーん……






.

347→←345

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す