君の笑顔９

310 side ﾆｶ ページ28

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その日は、

予定していた収録が長引いて

帰ってきたのはけっこう遅い時間だった





携帯を見ると、

何件かAからの

着信やメールが入っていてすぐにかけ直した





…思ったより元気そうでよかった。




相変わらず泣きそうな声してるけど



てか確実に泣いてんな…(笑)




今すぐ抱きしめてやりたいけど、

今は無理だもんな……





何分か話をして、

明日もまたかけるって約束をして電話を切った






着信履歴には

Aの名前の他にも

もう一件、電話がきていた




“ 萌花 ”




あ、やべ…


今日会う約束してたんだった…


すっかり忘れてたわ。





急いでかけ直す





萌「遅い」



2「悪い、色々あってさ…」



萌「どうせまた
Aさんのことでしょ」



2「……悪い」



萌「別にいいけど。
私に話あるんでしょ？」



2「うん、ちゃんと会って話したい」



萌「じゃあ、来週は…？」



2「大丈夫、なるべくだったら
どっか店とか…建物の中で話したい」




外よりは中の方いいよな、

注意されたばっかだし。





萌「じゃあ…高嗣の家は？」



2「悪い、うちはちょっと…」




Aがいないのに

勝手に上がらせるわけにはいかない。




萌「じゃあ……私の家…」



2「…わかった。この前のとこだよな？
来週仕事終わったら行くから」






こうして、

来週に萌花と会う約束をした





その一週間の間

Aには毎晩電話して

離れてるけど声だけは聞いて

なんとか冷静さを保っていた。




けど、もう限界…




Aがいないベッドの上は妙に広くて


Aがいない部屋の中はやけに静かで…




早く会いたい…



けど、これを俺が言ったら

Aを不安にさせちまうから


なるべく電話の中では

明るく振る舞っていた。






この一週間の間に、あの記事が出たけど

幸い、思ってた以上の騒ぎにはならなかった。




ドラマもキャスト変更しないで

そのままいくっていうし、少しだけ安心した…






今日は萌花の家に行く日





仕事が終わって

まっすぐ萌花の家へとやってきた







萌「どうぞ」



2「お邪魔…します…」





初めて入る萌花の部屋は

ワンルームで一人暮らしの女の子の部屋

そのものって感じの部屋だった





萌「ここ、どうぞ…」




カーペットの上に座布団を置かれて

そこにあぐらをかいて腰掛けた







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