気持ちを言葉にするって難しい。 ページ13
私が不登校になったきっかけ。
あの日は、午前授業の日だったかな。
その日も学校に行きたくなくて、気づいたら学校とは反対の、お兄ちゃんの稽古場の方に向かう電車に乗っていた。
そこからはあまり覚えていない。
でも、お兄ちゃんが居る稽古場についた時、凄く安心出来た。
稽古場のスタッフさんとは顔見知りだったし、直ぐに通してもらえた。
一刻も早くお兄ちゃんに会いたくて階段を使ったから、お兄ちゃんが稽古してる階が近くなればなるほど息があがって苦しくなった。
お兄ちゃんが稽古してる階に着いた時。
私はドアをノックするのも忘れて部屋に入ってしまった。
一瞬、スタジオにいた俳優さんやスタッフさんがびっくりしてこっちを見てきた。
視線が痛かった。
逃げ出したかった。
でも、お兄ちゃんに会いに来たのに逃げる事なんて出来ない。
私は怖くなって、泣きそうになったんだ。
いや、既に泣いていたんだと思う。
だって、お兄ちゃんが血相を変えて飛んで来てくれたから。
その時、同じ舞台で共演してたゆーすけくんもスタジオにいて、お兄ちゃんと一緒に心配してくれた。
あの頃はまだ今ほどゆーすけくんの事を知らなかったけど、何回かお兄ちゃんの舞台の稽古も見に行ってたから、［知り合いのお兄さん］くらいには思ってたのかな。
誰よりも先に来てくれたお兄ちゃんと同じくらい直ぐに来てくれたのがゆーすけくんだった。
その日から私は不登校になった。
学校に行かない代わりに、お兄ちゃんとゆーすけくんが稽古の合間に勉強を教えてくれた。
なんだか、お兄ちゃんがもう一人出来たみたいだと思った。
あの時からゆーすけくんはいつも私の事を心配してくれて、見守ってくれていた。
だから、私もゆーすけくんに胸を張って言えるようにならなきゃ。
〖私はもう大丈夫だよ、心配してくれてありがとう〗
って。
今まで照れくさくてなかなか言えなかったこの言葉。
ゆーすけくんはいつも私の背中を押してくれる。
でも、それに甘えたままじゃダメだよね。
自分の気持ちは自分で言えなきゃダメ、だよね。
気持ちは言葉にしなきゃ分からない。→←妹みたいな存在。(柏木side)
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作者名：勿忘草は浅葱色を纏う | 作成日時：2020年10月21日 16時
