真選組にはドSの星のお姫様がいる。

予期しなかった、恋の大三角形。(土方side) ページ32

── 俺、Aちゃんにアタックしようと思ってんだよねぇ ──





万事屋の口から発された一言。





一瞬の事過ぎて、理解するのに時間が掛かった。





ちょっと待て、万事屋は今日初めてAに逢ったんだよな？






なら、なんで逢ったばかりの女を軽々しく“ちゃん”付けで呼んでんだ?!?





もしかして………Aが許した………とか？





いや、そんな筈はねぇ。小さい頃から人一倍警戒心が強かったAの事だ。俺が名前呼んで返事してくれるようになったのだって、武州を離れる少し前だった。





それが、こんなマダオ野郎にいきなり名前呼びを許す訳がねぇ。





こいつ…………Aに何しやがったんだ………





銀時｢あー…俺“Aちゃん”って呼んでるけど、了承なんて得てねーから。だってさー、総一郎くんも居るのに“沖田さん”って呼ぶのもおかしいし。それに何より俺が名前で呼びたかったからね。｣





まるで俺の心を見透かしたかのようなタイミングで言ってきた万事屋。





何なんだコイツ……人の心よみやがって………ていうか、なんで俺はよりにもよってコイツに話しちまったんだ？





何だよ、“一生に一度の大恋愛”って………





俺にはそんなもん必要ねえはずだろ………





ミツバにだって、そう言い張ってきた筈だろ…………





武州を離れる時に決めた筈だろ？





俺に恋だの愛だの浮ついたモンは必要ねぇって。





なら、今俺の中に渦巻いてるドス黒い感情は何だ…………





もしも兄貴が隣に居れば教えてくれただろうか。





いや、“自分で考えろ”って言われて終ぇか…………

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