重岡くんは俺が怖い。 (ページ37)

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ピンポーン、とベルが鳴る。
こんな雨やのに、誰やろ？としぶりながらも扉を開ける。と、まさかの人物。

「神ちゃん…！？」

「 … のんちゃん、」

「ちょ、とりあえず上がって」

ずぶ濡れの神ちゃんがそこにいた。
なんで？どうしたん？と言うより先に、タオルを持ってきて彼を拭いてあげる。おとなしくされるがままのその姿は、捨てられた子犬のようだった。

「どうしたん？」

「シゲが、」

その名前を聞いて、衝動的に抱きしめる。

「何されたん、」

「キス、されそうになった」

………… は？、なんで？
あいつには彼女がおるはずなんじゃ、、

神ちゃんがやんわりと俺の肩を押す。
やっぱり、俺のことは意識してくれへんの？

「 … やっぱ、俺じゃあかんの？」

「 ……… のんちゃんとは、友達でおりたいから」

そうしてまた悲しそうな顔をする。

…… 今神ちゃんを悲しませてるんは、俺。
そう考えたらもう自分が馬鹿らしくなって。神ちゃんの目に俺は映っていない。だから何をしても無謀だし、結果として神ちゃんを悲しませてしまう。

最低やな、俺。

俺は乱暴に頭をかいて神ちゃんの肩を持った。

「分かった。神ちゃんとはこれからも友達でおる」

「のんちゃん … 」

「けど、だからこそ、神ちゃんとシゲのハッピーエンド以外は許さへんからな！！」

「、ありがとうのんちゃん、」

「あー、もう泣かんといてよ〜、！あ、クレープでも食べに行く？雨やけど」

結局は好きな人の幸せが一番やから。
キューピットとして俺が神ちゃんを幸せにする。