ご先祖様がついてくる【鬼滅の刃】

#34　悲しみの女 ページ34

炭治郎サイド

しのぶさんからいつもより怒ってる匂いがした。

なんだろう、と蝶屋敷の玄関の方に向かうとそこには男の子を柔道のように投げる女の子がいた。


しのぶ「時透君！Aさん！」


なんだ？

女の子から鉄臭い匂いと悲しみの匂いがする。

女の子は男の子から離れて俺がいる蝶屋敷を見た。

その右額には形は違うが俺と似た痣があった。

顔は男の子より無表情で生気も感じない。

悲しみの匂いを放っているのにまったく表情が変わってない。


炭治郎「しのぶさん、あの子から血の匂いがしますが怪我人ですか？」

しのぶ「はい。出血が酷いのに出歩こうとするから抑えていたのですが、まさか時透君がやられるとは」


しのぶさんが刀を手にかけた。

やばい、このままじゃあの子は──


炭治郎「もうこれ以上暴れないでください！」


俺は走って女の子に頭突きした。

やけくそに近かった。

すると女の子はあまりの痛さに後ろから地面に倒れて気絶した。

ベッドに連れて行くのを手伝おうとしたらしのぶさんに止められた。

だから俺は蝶屋敷の人達がその女の子を運ぶのを見ていた。


善逸「炭治郎、バカなんじゃないの？」


善逸にその女の子の話をしたら開口一番にそう言われた。


善逸「あのさ、女の子には月の穢れってもんがあるんだよ。赤ちゃん産むための準備期間が。だから血の匂いがしたんだよ。それなのに頭突きしたの？バカなの？」


俺は自分がとんでもないことをしたのだと理解した。


善逸「そりゃあしのぶさんだって止めるよ。女性の健康問題は女性同士、一番理解してるんだから。刀見せたのはただの威嚇だよ。その男の子だって刀抜いてないんでしょ？」


そうか。

俺だけ本気になっていたんだ。

煉獄さんが死んで、あの子も悲しかったんだ。

悲しかったから取り乱しちゃったんだ。


善逸「でも女の子なのに凄いね。柱を投げ飛ばすなんて俺達より実力がある子だよ。だから炭治郎、紹介してぇ〜！」

炭治郎「今はまだ寝てるんだ。安静にしないといけないから起こしちゃダメってしのぶさんにもアオイさんにも言われたから無理だ」

善逸「そんなァ〜！ねぇ〜お願いだよ炭治郎ぉ〜！！」

炭治郎「諦めるんだな、善逸」


途中まで心に響く言葉だと思っていた俺が馬鹿だった。

だけど善逸なりにその子のことを気にしているんだということは匂いでわかる。

伊之助はベッドで未だに眠っている。

俺は窓の外を眺めた。

煉獄さん……

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