#29 凧揚げ ページ29
一ヶ月が経ったある日。
縁壱「髪は邪魔にならないか?」
縁壱さんはそう言った。
確かに、以前と比べて私の髪の毛はもの凄い量になっていた。
今じゃ、背丈は足りないけど髪の毛は縁壱さんほどの長さ。
『切ったほうがいいですかね?』
私がそういうと縁壱さんはハッとした顔をした後、自分の発言を謝ってきた。
縁壱「すまない」
『!?大丈夫ですよ。どうして謝るのですか、ご先祖様』
縁壱「髪は女性の命。その命を切ろうと私は軽率に発言したのだ」
そうか。
縁壱さんが生きていた時代は確か厳しかったんだ。
『そんな、私、縁壱さんと同じ髪型なので嬉しくて……だから切りたくないんですよね。もし切るなら、切った分の髪の毛は売りに出します。誰かの役に立てればいいですけど』
頬を指先でかきながら私は笑った。
縁壱さんがなんとも言えない顔をしていた。
ほとんど真顔だけど、私にはわかる。
……なんか、恥ずかしくなってきちゃった。
そうだ!
私は藤の家の人に凧揚げがあるか聞いた。
するとあったので凧揚げを持って縁壱さんのとこに行く。
『縁壱さん!凧揚げしましょう!』
襖をガターンッ!と音がするほど大きく開けて私は部屋に入る。
縁壱さんは凧揚げが好きだと聞いたからだ!
縁壱「どうして今なのだ?」
『今日は任務がありません!だからです!』
私は縁壱さんと外に出ると凧揚げをした。
風が吹いていたので凧は揚がった。
『お〜!すごい凄い!上がってる!凧が上がってる!縁壱さん!上がってますよ!』
縁壱「随分と高くまで上がったな」
微笑んでくれる縁壱さん。
『縁壱さん』
私は縁壱さんの近くに行くと凧を揚げている手元の紐を差し出す。
『どうぞ、私の手に手を重ねて凧を揚げてください』
縁壱さんは頷くと手を重ねてきた。
空高く揚がる凧の紐を縁壱さんに合わせて私は引いたり緩めたり、上に少し持ち上げたりした。
縁壱「昔、兄上と凧揚げをしたときも、このような天気だった」
縁壱さんはそう言った。
『夜食が始まる前に双六(すごろく)もやりましょう。私、双六は祖父と父以外でやった人がいないので家族以外でしたら縁壱さんが初めてです。あ、ごめんなさい、縁壱さんも私の大切な家族です!』
縁壱「私が……?」
『はい!守るべき家族です!』
縁壱さんは私を見た。
顔の距離がとても近い。
重なった手元が熱を帯びているように熱くなったのは気のせいだろう。
私の高揚した気持ちも。
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灰色サーモン - まってwwwよくよく考えたら縁壱さんの顔で夢主がキャラ崩壊してるwww (2020年5月15日 2時) (レス) id: 99f545fffc (このIDを非表示/違反報告)
名無し61903号(プロフ) - よりよりさん» とても綺麗で艶がある髪ですね。それに着物まで考えておられて素晴らしいです。夢主の容姿はそのようなイメージでいいですよ。私は読者の皆様が考える夢主の姿で物語を読んでもらえると嬉しいのです。気に入りましたありがとうございます(人*´∀`)。*゚+ (2020年3月10日 22時) (レス) id: f947700d9f (このIDを非表示/違反報告)
よりより - https://cdn.picrew.me/app/share/202003/15599_3aYynxVu.png Picrewの 馬酔木ヒカルさんの 和装女子メーカーをお借りしました 夢主ちゃんは こんな感じかなと勝手にイメージしてみました お気に召さなかったらすみません。 (2020年3月10日 22時) (レス) id: f27088ec53 (このIDを非表示/違反報告)
海月ひかる(プロフ) - 設定の所に、子孫と書いていますが、遠いなら末裔では?細かくてすみません (2020年3月10日 6時) (レス) id: 490f2474fb (このIDを非表示/違反報告)
わんこ - 緑壱さんが尊い()神作ですね。更新ふぁいとです! (2020年3月1日 15時) (レス) id: e04dff07ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年2月22日 13時