#206 サラザール ページ6
抱きしめながら彼の胸に顔を押し付けた。
彼のぬくもり。
彼の匂いがする。
枯れたはずの涙が溢れてきた。
『サラ、サラザール、本当にサラザールなの？』
サラ「そうだよ」
顔を上げると私を見つめる灰色の瞳。
抱きしめ返してくれる。
サラ「よく頑張ったね。私の約束のために、一人でこのホグワーツを守ってくれてありがとう」
『守れてなんか……橋とか階段とか、壁だって壊れて……生徒も何人も死んで…』
サラ「それでもAは立ち上がって生徒を守るために戦ったじゃないか。苦痛にも負けずに」
サラ「Aはずっと頑張ったんだよ。もう、頑張らなくていいんだよ」
涙が幾重にも流れてきた。
なんとかうわずる声を抑え、サラザールを見る。
『サラザールに言いたいことがあるの。サラザールが告白してくれたとき、嬉しかった。だけど言えなかった。好きって伝えたらこの関係が壊れるかもって思って…』
サラ「うん」
あの時。
魔女だと言われ、十字架にかけられたとき。
【……私は貴方の…】
『貴方は私に告白してくれたのに……私は貴方の…貴方の気持ちに答えれなくてごめんなさい。今だから言えるの。もう遅いってわかってる』
『私、サラザールが好きだよ！愛してる！』
サラ「ようやく返事くれたね。待ってたよ」
『待っててくれてありがとう。遅くなってごめんね』
サラ「いいんだよ。だって返事をくれたじゃないか」
手が重なり合い、恋人つなぎになる。
おでこ同士をくっつける。
サラ「もうホグワーツにいなくていいんだよ」
『ホグワーツに居なくていいの？私が消えたら、誰が魔法を教えるの？誰が生徒を守るの？』
サラ「君は心配しなくていい。私の約束の為だけにここに縛り付けてしまってすまない」
『ううん。帰って来るって信じてた。ずっと…ずっと待ってたよ』
サラ「A…」
『サラザール…』
おでこを離して私はサラザールにキスした。
少しして話し始めた。
『バジリスク…あの子に美しい世界を見せたかった。世界をもっと旅させたかった』
サラ「バジリスクの面倒を見てくれてありがとう」
『バジリスクの瞳はね、黄色でとっても綺麗なんだ』
サラザールが微笑むと、私もつられて微笑んだ。
『サラザールに話したいことが沢山ある。だけどなんだろう。ありすぎて思い出せないや』
サラ「私も沢山話したい。だけど、もう行かなくては」
離れたくないという言葉は声に出ていないが、気持ちが伝わってきた。
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こ - うおおおおおお最高でしたありがとうございました (2023年3月27日 15時) (
レス) @page20 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
アニマトロニクス(プロフ) - 最後の最後まで素晴らしい作品でした！食人鬼さんの作品に出会えてとても良かったです。 (2018年10月4日 6時) (レス) id: 538062cc7f (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - なるほど、質問に答えて頂きありがとうございました！ (2018年9月8日 21時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
名無し61903号(プロフ) - ぴのさん» 歳は取りません。しかし、主人公の精神年齢が低いのです。 (2018年9月8日 21時) (レス) id: f947700d9f (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても感動しました。質問なのですが、不老不死だと歳を取らないと言うことでしょうか？ (2018年9月8日 19時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：食人鬼 | 作成日時：2018年8月31日 11時
