#11 懐の大きい人 ページ11
巌勝サイド
無惨様は私の側に寄られ、ふんと鼻を鳴らされた。
無惨「貴様、この学校の職に就いたそうだな」
巌勝「はい」
無惨「あの化け物もいるそうだな」
巌勝「はい。無惨様もお変わりないようで…」
無惨様は少し笑って見せた。
今日は機嫌がいいのだろうか。
無惨様も前世の記憶をお持ちのようだ。
どこで働いているんですか、と尋ねたら製薬会社を立ち上げたと仰った。
校内を案内しますと言ったが遠慮なされた。
縁壱がいると知ったら会いたくないだろう。
私も縁壱には会いたくない。
だが今は7月の上旬で外は暑い。
せめて学校の玄関に入ったら涼しさを感じられると思ったが、学校に入るのすら嫌そうだ。
お館様が切り盛りしているこの学校。
やはり無惨様は今でも毛嫌いしなさっているようだ。
だから冷たいお茶を差し出して私は無惨様と学校の校庭に行くことにした。
校庭では休憩所の屋根があるからそこで涼むことに。
やっと会えた。
そう思うたびに口元がほころんでいくのを感じる。
無惨「お前の名前は確か…」
巌勝「前世と同じ巌勝という姓を頂きました。だけど私は貴方様が名付けて下さった黒死牟です」
無惨「そうか。ならいい。黒死牟」
巌勝「はい」
無惨「私の下で働け。お前は腕の良い部下だ。私の下で働けば教師の給料より多くの給料を出すぞ。それにあの化け物と離れることができる家も探してやろう。どうだ?中々の好条件付きだ」
巌勝「なんと…」
無惨様は見たところ二十歳程の年齢だ。
その年齢で製薬会社を立ち上げ、ましてや私に家を下さるという。
なんと懐の大きい人だろうか。
感謝の言葉が浮かんで私は泣きそうだ。
無惨「元上弦の壱という者が泣くではないぞ」
巌勝「幸せでこざいます…」
無惨「そうか。私もお前に会えて嬉しいぞ」
巌勝「はい」
無惨様。
貴方には返しきれない程の恩がある。
縁壱が憎かった前世の私を鬼としてくれた。
太陽が眩しくて辛いとき夜を私に下さった。
生きる楽しみと名前を下さった。
これからも慕わせて欲しい。
どこまでも私を連れて行って欲しい。
縁壱には悪いが無惨様についていきたい。
そう決意したとき、学校の方から声が聞こえた。
着物姿の生徒が腰にある刀を鞘からぬいて出し物をしている。
あぁそうだ。
あれはAが所属している演劇部の出し物だ。
ということは、今は劇をしているのか。
もうそんな時間なのか。
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ニケニケ - お久しぶりです。長い間、読むことが出来ず、申し訳ありませんでした。 更新ありがとうございます!お疲れ様です! (2020年7月1日 17時) (レス) id: 570015223c (このIDを非表示/違反報告)
ニケニケ - 返信してくださり有り難う御座います! あと、更新お疲れ様です。 これからも応援させて頂きます! (2020年5月23日 10時) (レス) id: ff2bd55984 (このIDを非表示/違反報告)
名無し61903号(プロフ) - ニケニケさん» コメントありがとうございます。私も継国兄弟推しなのでとても嬉しいです。頑張りますね。 (2020年5月21日 18時) (レス) id: f947700d9f (このIDを非表示/違反報告)
ニケニケ - 更新有り難う御座います! 次の更新も楽しみです! (2020年5月21日 11時) (レス) id: ff2bd55984 (このIDを非表示/違反報告)
ニケニケ - 追伸:私は巌勝(黒死牟)さん推しです! というか、まとめて継国兄弟推しですw (2020年5月19日 23時) (レス) id: ff2bd55984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し61903号 | 作成日時:2020年3月16日 0時