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こちらにおいで【ヤングゼアノート】(リクエスト) ページ28

「やめて! 離してよっ!」


その子の必死な言葉に、姿に、目の前に立つ俺はほくそ笑んだ。

現在、時間を止める要領で、Aの腕を空中に固定して拘束している。せめてもの抵抗と、バタバタと足を動かすその子は無様で、とても愛らしかった。


俺は、この全てが集結する時間にやって来て初めてAと出会った。
対峙したあの時、こちらに向ける敵意の瞳。俺がそれを何と無しに欲しいと思ったのが、この恋の始まりだったか。

光側にいるその子はとても輝きに満ち溢れていて、さぞそいつらの事も惹き付けたのだろうとは考えた。

まあ、その証拠の一つが……


「帰りたいか?」

「当たり前でしょ!私はソラの所に帰るのーっ!」


現にその子に想い人がいるという事実だ。
あの勇者の名前を呼んだAの表情からは、その様な事が読み取れた。


……つまりはあいつを使えばこの子が手に入る。 単純明快な話だった。

しかし、心が通じ合わない状態でこの子を奪うのも遣り切れないもの感じる。俺の想いが伝わってこそ、それは始めて充足感を得られるというものだからな。

……まあ、第一段階としてあいつを利用するのはアリかもしれない。
Aをこちらの手中に収めた後……じっくり、そして確実にその子の心を落としていけばいい。


そう結論に至り、未だに抵抗を続けるAに話を持ちかけてみた。


「ソラが大事か?」

「うん、大事……って、アンタが知ってどうするの?」


すると、少し顔が赤く染まったその子は、気を取り直した様にこちらを睨む。

……実際、あいつへの嫉妬やら憎悪やらが俺の中で大きく膨らんではいる。計画に背こうが、今すぐにでも始末してやりたいくらいな。

だが、今は堪える時だ。


「そいつは今、我々がいつでも干渉できる状況にまで進んでいる。
ソラがどうなっても良いのなら、逃げ出すなり何なり好きにして構わない」


その言葉に、Aの表情は一転した。


「やめて……! ソラを傷付けないで!」

「…なら、このままこちら側に来い、A」


Aは考えているんだろう。 一体どうすれば良いのか、どれが最善の選択か、と。

青ざめて大人しくなったその子を見て、俺は魔法を解除して拘束を解く。そして、そのまま地面にへたり込んだその子に俺は視線を合わせる為にしゃがむと、その頰に触れた。


「こちらを選べ。
俺ならお前を骨の髄まで愛してやれる」


そう言うと、諦めたかの様にゆっくり頷いたAに、俺の口角は上がった。

また逢う日まで【マスターオブマスター】→←息が詰まりそうだ【リク】(リクエスト 過保護)



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設定タグ:キングダムハーツ , ヤンデレ・狂愛 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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レフト(プロフ) - ご満足頂けたようで何よりです。ソラさんもわざわざこのような小説にリクエストして下さり、誠に有難うございました。 (2019年5月27日 22時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです!ありがとうございました (2019年5月27日 5時) (レス) id: 788aead105 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - ムスメ3さん» 今までのご閲覧、誠に有難うございます。ムスメ3さんから頂いた沢山のリクエストは非常に捗りました。 (2019年5月27日 1時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - すごい面白かったです!完走おめでとうございます! (2019年5月26日 19時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - いちごみるくさん» 四ヶ月という時間を掛けて漸く完結致しましたが、初期の方から見て下さったいちごみるくさんには感謝しきれません。今までご閲覧頂き、本当に有難うございました。 (2019年5月26日 13時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フェトルクス | 作成日時:2019年1月25日 0時

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