東卍だろうが何だろうが鉄骨娘はひるまない

勝利 ページ28

「よくやった、褒めてつかわす」

予想通りアイツの一発は瞬きする間に終わった
こめかみに鋭い蹴りが一瞬で吸い込まれるように繰り出され、一発で長内は戦闘不能となった

あれだけ中坊相手と舐めた態度とっていたくせしてあっけなくのされているのだからいっそ清々しい

今まで我慢してため込んでいたうっぷんがあの蹴りで晴れた気分になる

「なんで野薔薇がそれ言うのさ」

ジトリとした不満げな顔も機嫌がいい釘崎は気にならない

「だってアイツムカつくのに私は手出せないでしょ？ムカつくったらありゃしないわよ」
「確かに野薔薇、本気で気にいらない奴は全力でのしてくイメージあるかも」

「失礼ね、まぁ否定はしないけど・・さすがの私もちょっと気に入らないからってすぐ暴力に持ちこむことはしないわよ。まずは口でやり返す」
「どっちにしろやるんだね。まぁ野薔薇しいっちゃらしいけど」

のんびりと会話を続けながらも、釘崎は気が付いていた

背後から人の気配が段々と近づいているということに
隠す気のない乱暴な足音はすぐそこまで迫ってきていた

本人はふいをついてきたつもりでいるのだろうがバレバレだ

「危ねぇ野薔薇！」

それに自分以外の人間が初めて気が付いたのはドラケンだった
自分と迫ってきている影に体を挟み込もうと飛び出しかけるドラケンをニヤリと笑って止めて見せた

「こちとらさっきから気づいてんのよ！舐めんな！！」

迫ってくる影に勢いよく振り返り、腰に括り付けているポーチから愛用している金鎚を取り出し、振り下ろされようとしている割れて先端がとがっているビンに狙いを定め思い切り打ち込んだ

ビンが割れる派手な音が倉庫内に響き渡る
迫ってきていた影、長内はそれに気を取られている隙にドラケンからの思い膝蹴りが叩き込まれる

一つうめき声を漏らした長内は、今度こそ完全に気を失った

「長内、テメェがなんで負けたか教えてやるよ。不良の道外れたからだ。
女まわしたり親襲ったりよぉ・・・現に今も、何で一番に女やろうとしたんだ？
やってることがクソなんだよ。野薔薇は野薔薇で無茶ばっかしやがって・・・だいたいその金鎚どっから持ってきたんだ？」

「そこらへんに落ちてたのを拾っただけよ」

流石に適当すぎたか・・・疑わし気な視線がくるもあえて知らないふりをした
今はそんなこと気にする場合でもないし問題ないだろう

「いいか、また外道なマネしやがったら俺らがとことん追い詰めて殺しに行くかんな」

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