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家で持ち物を確認していると教科書と教科書の間から見慣れない参考書が出てきた。
こんなの買ったっけ、と行為後の気だるい身体で中をパラパラとめくってみる。
「わ…」
めっちゃやりこまれてる。これ絶対私のじゃない。
綺麗な読みやすい字だけど どことなく嫌な記憶がフラッシュバックする。
透き通った白髪の、あいつ。
生憎名前は書いていなかったがなんとなく確信してしまった。
間違えて配られたのだろう。まあそういうこともあるよねと思ってカバンにしまった。
どうやって返すかなんて今考えることはしない。
多分、明日の私がどうにかしてくれるから。
あ、天月くんに頼めばいいんじゃないか?
うーんまあ明日でいいや…。
あいつのことは考えれば考えるほど憂鬱になってくるのだ。
呪いみたいに耳にこびりついた「相川くんと愛華ちゃんってお似合いだよね!」
って言葉が頭の中でループされ始める。
それと同時に貼り付けた笑みを浮かべて私の表情をチラリと窺ってくる相川も。
全部全部 大嫌いだ。
無駄に整った顔も、透き通った儚い白髪も、全て見透かしたような紅色の瞳も、見上げるほどの身長も、都合のいい行動も、その貼り付けた笑顔も、頭がいいところも、全部 大嫌い。
相川となんて逢わなければよかった。
" あの日 "から切実にそう思うのだ。
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作者名:結萌 | 作成日時:2021年8月17日 22時