Female soldier 4【wrwrd!】 (ページ21)

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前を向いてページ21

「ありがとう、同志エーミール」
「ふふ、なんだか照れくさいなぁ」

なんて言いながら墓地へ歩みを進める。
二人でどこかに行くのはいつぶりだったか……随分久しい。

「あーあ、こんな浮腫(むく)んだ顔で会いに行くなんて思ってもいなかったです」
「ふっ、そうだな。じゃあ引き返すか？」
「ダメです！……まぁ、今の(・・)貴方なら明日と言わず、浮腫みが引き次第誰かと一緒やなくてもひとりで行ってそうですけどね」
「俺は多重人格ではないゾ」
「そんなもんやで」

はぁ～……やっぱり調子が狂う。ニコニコしながら中々な事を言ってくるもんだから掴み所がない。
まぁでも、ここまでズバズバ言ってくる奴はあまり居らんから面白い。ギャグセンスは皆無だがな。

・

「相変わらずの供物の量ですね」
「あぁ。一目でAの場所が分かる」

俺は墓の前に跪き、我々軍のマークのピンバッジを石の前に置いた。

「さて、帰ろう」
「え、早くないですか？」
「長居するとAが緊張で疲れるからな。
フッ、総統なんて名ばかりだと言うのに、あいつはそういうとこちゃんと律儀な奴やったからな。呼ぶ度ビクビクしとった」
「見た目の問題では？」
「失礼な奴め。お前こそ人のこと言えんだろう」
「確かにそうですね。ふふ」

……このまま流されとると結局長居することになりそうだ。今度こそ帰らねば。

「ゴホン。……じゃあな、A。また明日にでも来よう」
「あら、言うことはそれだけですか？」
「むっ……意地張って来なかったことを心から詫びる。すまなかった」

俺はAに頭を下げて踵を返した。胸の中に溜まっていた黒いものがスッと引いていくような感じがした。

・

「あっ、居った！！」
「ん？あぁ、トン氏か」
「『あぁ、トン氏か』やないわ！
また脱走した思うて街中のケーキ屋まわっても居らんかったから幹部と近接・遠距離1班総出で探しててんで、全く……！
[すまん見つけたわ。全員持ち場に戻ってくれ。]
はぁ～…………」

うわー帰ったらお説教ルートやな……お説教で済んだらええけど。てか総統が補佐に怒られるってなんやねん。

「すまんな、心配かけて。Aに会いに来ててん」
「え？あ、あぁ、おん……そうか」
「……？どうかしたか？」
「い、いや……なんでもない。
と、に、か、く！今すぐ帰るで！！」

俺は(トン氏に引き摺られて)基地へと戻った。