笑顔 ページ13
kn視点
「オイそこなめとんちゃうぞ！ちゃんとやらんなら辞めてまえ！！」
「は、はいっ！はぁっ、はぁっ……すみません！」
ったく、この前のでどんだけﾀﾋんだと思うてんねん……意識が低いわ。
「コネちゃん、ちょっと厳しいんじゃない？」
「別に厳しないわ。ちゃんとやらへんからあかんねん」
「……そっか」
なんやねんひとらんまで。口出ししよってからに。
アイツ……シャオロンもずっと部屋に籠っとるし。教官なんやからしっかりせぇよ、情けない。
……俺かて、怒りたないねん。気付いたら怒ってしまってん。
・
「今日はここまで！各自ストレッチして解散！！」
はぁーっ……早めに終わらせたけど、めっちゃ疲れた。一服しよ。
なんてぼーっと考えながら喫煙所へ向かうと、どうやら先客が居ったようや。
「よぉ、ひとらん」
「ん？あぁ、コネちゃん。お疲れ様」
「おぅ」
箱から1本取り出し、火をつけ、深く吸った。今日の煙草は少しマズい。なんでやろ。
「なぁ、その……訓練の時の、ごめんね。
みんな……なんか、変わっちゃったじゃん？シャオちゃんもいないし、気が立ってるのも分かってたんだけど……」
ひとらんは眉尻を下げながらそう言った。こいつは悪ないのに、謝らせてしもうた。はぁ……。
「いやいや、お前は謝る必要ないで。なんか、なぁ……イライラしてまうねんな。ほんますまん」
すると彼は何か少し考えたそぶりをしたあと、
「……Aちゃんに会いにいってみたら？何か変わると思うよ」
と言った。確かに、葬式終わって2日後には訓練再開させて墓参りも
「あぁ、せやな……そうしてみるわ。ありがとう」
夕飯までまだ時間がある。俺はがさつに灰皿に煙草を押し付け、Aのところへ直行した。
・
「……もう、こんなに増えたんやな」
ここに来ると胸が締め付けられて、何とも言えない感情が襲ってくる。俺が一番来なあかんのに、きっと一番来てへん。情けないのは俺や。
まだ綺麗なAの石の前に着くと、自然と涙が溢れてきた。
「っな、なぁ……俺、どうしたらええ……っ？はよ、出てっ、きて……答えてや…………っ！」
『コネシマさんは笑顔が一番ですよ！太陽みたいに明るくて、大好きです！……えへへ』
ずっと前、Aに言われたのを思い出した。
せやな。ツラいときこそ笑わな。
「……ありがとうな！アッハッハッハ！」
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作者名：ウィング | 作成日時：2020年11月2日 8時
