Female soldier 4【wrwrd!】 (ページ11)

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温もりページ11

osmn視点

「ふんふんふーん……っと。よし、出来た！」

オーブンを開けると、香ばしい匂いが辺りに広がった。今日もエエ出来や。

「おっ、うまそうやん！いっただきー」
「あ、ちょっ、ゾム！」
「あちちっ……んむ、また腕上げたやん」
「はぁ……食べたきゃ作るから、ちゃんと言うめう」
「つまみぐいが一番うまいねん。んじゃ、ご馳走さん」

そう言ってゾムは天井からやってきて窓からどこかへ行った。嵐のような男やな、毎度毎度……。
自分も1枚口に放ると、噛み締める度にサクサクとした食感とバターの香りに一気に胸が満たされていく感じがした。

あら熱がとれたら何枚かをラッピングバッグに詰め、残りをお皿に乗せて、ティーセットを準備し、キッチンを後にした。

・

「グルッペン、お茶にするめう」
「ん？あぁ……そうだな」

うーん……やっぱり最近のグルッペンはおかしい。自分にも部下にも仕事詰めにしとる。何を焦っとんのやろ。

…………なんて。
Aちゃん失ったショックが大きいんやろうな。
働いて働いて働きまくって、あの娘のことを考える時間をなくそうとしとる。あいつなりの現実逃避めう。
総統サマも兵士も同じ人間やからな。しゃーないか。

「なぁ、このあと気晴らしにAちゃんとこ顔出しに行こうや」
「……すまん、便所に行ってくる」

ダメかぁ～……まぁええわ。ちょっとずつ、めう。

・

「来たで～Aちゃん」

この辺は遮るもんがないから風がよく通る。気持ちええなぁ……。

「ふふ、愛されとるなぁ」

石の前に置かれた品の数々を見て、思わず表情を緩ませた。
……ありゃ、クッキー被ってもうたなぁ。まぁええか。気持ちが伝われば。

「…………ふふっ、あかんわ。ここはまだグルッペンは来たらあかんなぁ。
Aちゃん、ごめん……っまた、クッキー、湿気っちゃった」

袋がカサリと音を立てた。水滴が付いとった。
あーあ、上手く焼けたのに、綺麗にラッピングしたのに、台無しや……。

その刹那、風がゴォッと吹いて、手の上のクッキーは石の前に飛ばされた。まるでここが居場所だと言うかのような存在感を放っている。

「……Aちゃん、これがええの？これでええの？」

『先日のクッキー、とても美味しかったです！オスマンさんの温もりを感じられるような……えへへ、恥ずかしいです』

「……ふふ、物好きめう。Aちゃんは」

俺はそのまま踵を返すことにした。
彼女が望むなら、なんなりと。