MoonDust_5 ページ7
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なんでって…
まぁ、言ったところで多分二度と会うこと無いだろうしいっか。
貴「明日このすぐ近くのビルで面接なんです。
今は横浜に住んでるんですけど、
大阪で働こうと思って。」
簓「ほぇー!そうなん!面接受かるとええな!
まぁ、縁あってこっちに来ることになったら
いつでも言い?俺が美味いたこ焼き屋連れてったる!」
貴「いや、結構です。」
簓「なんでや!いけず!」
なんか、子供みたいだ。
不覚にも可愛いと思った。
貴「…っふ、あ、すみません。」
初対面の人を笑うなんて失礼だったかな。
まぁ、いっか。
簓「お、やっと笑てくれたな。
緊張しとったのか表情暗かったから
心配してもうたわ!」
あぁ、なんだ、心配してくれてたのか…
いい人なんだな。
貴「…失礼ですね。通常運転ですけど。」
簓「あれが通常運転!?えらい怖い顔しとったで!?
そんな顔しとったら猿も去ってまう!」
さっきから極力無視してたけど、寒。
ここだけ冬か?
貴「いや、さっきから寒い寒い思ってたんですけど
どうやら、白膠木さんの親父ギャグが冬を
連れてきてるみたいですね。私、夏派なんでその寒さ
北極に帰してやってください。」
簓「俺の親父ギャグが寒いて!?
Aちゃん…その意見には着いて行けん…」
貴「意見には着いてこなくていいんで、
冬を北極に帰してやってください。」
笑わせてくれようとしてるんだ。
私なんかに優しくしても得なんてないのに
簓「…っと、楽しい時間はあっという間やな。
着いたで、ここが○○ホテルや。」
貴「…ほんの数分でしたがお世話になりました。
お礼は面接に合格したらさせてもらいます。」
連絡先無いから無理だけどな。
簓「そんなんええねん、
また困ったらいつでも言ってな!」
貴「頭の片隅には多分入れます。」
簓「多分や無くてちゃんと覚えといてや!!」
ホテルまで送ってくれたのは本当に感謝してる。
でも、人と人の関わりは希薄だから。
信じちゃいけない。
貴「…失礼します。」
私は白膠木さんに背中を向けて1歩踏み出した。
簓「あ、ちょっと待ってや!!
こっちで仕事決まったらこっちに住むんやろ?
これ、俺の連絡先や。」
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作者名:夢乃叉優芽 | 作成日時:2023年3月11日 22時