MoonDust_40 ページ42
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家族以外の人に手料理を振る舞うのなんて初めてだ。
料理自体は実家にいた時もやってたからできる。
けど、やっぱり、家族以外に食べさせるってなると多少気を使うわけだし
材料の調達をしてから帰ることになる訳だけど、その前に何を作るか考えないと
20:30に白膠木さんが来るとして、今は16:00になるところ…
時間には余裕があるし、お礼も兼ねてだから
少しいい食材を使ってみようか
貴｢…そういえば、何が好きか知らない。｣
なんでも喜んで食べるとは言ってたけど、多分気を使ってくれてるだけだ
メインはハンバーグにしよう。
肉にするならさっぱりした付け合せとサラダ、あとはお米かパンか…
よし、ある程度決まったし買い物して帰ろ。
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《ガチャ》
貴｢ただいま｣
誰もいない、静かな部屋に自分の声が響く。
返事が無いことに寂しいとは思わないけど、やっぱりまだ慣れない。
実家にいた頃も返事はなかったけど。
いつか、誰か、おかえりって言ってくれる人が私にもできるのかな…
靴を脱ぎながら私には広すぎる空間を眺める。
1人でいると静か過ぎて、思考が巡ってしまう。
早く、やる事をやってしまおう。
貴｢…まずはハンバーグのタネからやってこう。｣
雑念を取り払うように、少し奮発して買った
100%国産の牛ミンチをボウルに移し、玉ねぎやらパン粉やらを入れていく。
そう言えば、昔、小学生の時だったっけ……
家庭科の授業でハンバーグ作ったな。
あの時は、ひっくり返す時にぐちゃぐちゃになって同じ班の子たちにも迷惑を掛けた。
今は、もうそんな迷惑を掛けるような人もいなければ、
そんな失敗はしない程度には料理できるようになった。
貴｢あの時、白膠木さんみたいに笑ってごめんって
言えてたら…｣
あの子たちは許してくれたのかな…
友達になってくれてたのかな…
今更、考えても無駄な事なのにどんどん溢れてくる思い出が
思考を停止させてくれない。
美味しくないって言われたらどうしよう…
いっその事、出来合いのものを用意した方が良かったんじゃないか…？
不安が募る。
お礼を兼ねて料理を振る舞うなんて偉そうに言ったけど
なんで提案してしまったのか。
今になって後悔し始めた。
貴｢………はぁ、悩んでてもしょうがない。
早く終わらせよう。｣
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作者名：夢乃叉優芽 | 作成日時：2023年3月11日 22時
