検索窓
今日:23 hit、昨日:85 hit、合計:9,370 hit

MoonDust_21 ページ23

.


あれから、時は流れ、


今日が横浜を発つ日。


父から貰った通帳のお金には一切手を付けず、


家も借り、ある程度のものは揃えた。


荷物も予め送ってある。





父「…何かあれば連絡しなさい。」




貴「はい。じゃあ。」




母「待って、これ、持って行きなさい。」





母からはお守りを渡された。





母「……気を付けて。」




貴「……ありがとう」





家に背を向け真っ直ぐ駅に向かい歩き出す。


皮肉にもこの1ヶ月、


どんな時よりも父や母が優しく感じた。





「「A!」」




理「A、久しぶりだな。」




銃「…ったく、別れの挨拶も無しに
そのまま行くつもりだったのか。」




貴「…銃兎さん、理鶯さん!」





後ろから急に名前を呼ばれ振り返ると


銃兎さんと理鶯さんだった。





銃「ほら、さっさと乗れ。駅まで送ってやる」




貴「…え、大丈夫だよ?
見送りだけで十分」




理「そんな寂しい事を言うな。
銃兎も今日はわざわざ仕事を切り上げて
来ているんだ。銃兎の気持ちも汲んでやってくれ」




銃「理鶯、余計な事を言わないでください。」





わざわざ仕事を切り上げてまで見送りに……


これ、断ったらさすがに失礼だよね





貴「…じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます」




銃「荷物はそれだけなのか?」




理「確かに、少なく見えるな。」




貴「ある程度は先に送ってあるので、
手で持つのはこれだけです。」





なるほど、と頷く理鶯さん。


あー、なんか和むな。


この1ヶ月、部屋探しに、家具探し、色々大変だったからな。





銃「新幹線に乗るんだろ
なら、新横浜まで行きゃいいな?」




貴「…そうだけど、横浜駅よりちょっと遠いよ?
大丈夫?」




理「…A、今日くらい甘えてやれ。」





しばらく会えないってだけで


こんなに優しくされていいのだろうか。


でも、そっか。今日だけなら…


甘えさせてもらおう。





貴「新横浜まで、お願いします」




銃「はっ、俺はタクシーじゃないぞ。」





口ではそういうものの、少し楽しそうな銃兎さん。


理鶯さんもそれを見て笑ってる。


学校にも友達なんていなくて、家にも居場所無かったのに


理鶯さんと銃兎さんの笑いながら話す顔を見てると、


ここに居てもいいと言われてるように感じた。





貴「横浜、離れるの寂しくなってきたかも。」







.




.

MoonDust_22→←MoonDust_20



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
70人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夢乃叉優芽 | 作成日時:2023年3月11日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。