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MoonDust_20 ページ22

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家のドアを開けて入る。





貴「…ただいま」





返事は無く、リビングへ行くと母は食器を洗っていて、


父はソファで新聞を読んでいた。





父「…帰ったのか。どうだった」




貴「合格、来月に家出る。」




母「…自分で全部やりなさいよ。」




貴「言われなくてもやるから。」





私は荷物を持ち直し自室に向かった。


荷物を床に投げ、ベッドにダイブする。


2日、だけしか離れてなかったのに自室がもう懐かしく感じる。




《コンコン》


貴「…?」




父「…入るぞ、少し話をしよう。」




貴「お父さん?」





父は私の部屋に入るとベッドに座り私に話を始める。





父「…まずは、合格おめでとう。
それと、話というのはこれだ。」




貴「…何これ?」





目の前に出されたのは、通帳と印鑑。


初めて見たけど、名前は私の名前になってる。





父「お前が生まれてから私がAの名義で貯金していた
…いずれなにか役に立てばと思ってな。」




貴「…要らないよ。私も貯金くらいしてたし」




父「…この17年、
父としてお前に何かしてやった事は1度もない。
せめてもの気持ちだ。どうか受け取ってくれ。」




父は、頭を下げ通帳と印鑑を差し出す。


なんなんだよ、いきなり。


調子が狂う。





貴「…こんな事されても困る。」




父「不甲斐ない父で悪かった。
縁を切られても仕方がない。だが、
どんな時でも大切に思ってきた。
お前の成長を嬉しくも思っていた。」




貴「…そんな風には感じ無かったけどね。」




父「そうだな。どう接していいかも、親子がどういった会話
をするのかも何も知らず、試行錯誤しているうちに
取り返しのつかない程の溝ができていたみたいだ。」





なんだよそれ。なんなんだよ。


今更すぎるだろ。





父「…許して欲しいとは言わない。
母もあれでお前を心配しているんだ。
大阪に行っても、たまにでいい、
顔を見せに帰ってきてくれ」




貴「………。」




父「話はこれだけだ。
おやすみ。」





関わり方が分からなかったって?


言い訳でしかないじゃん。


まともに話そうともしなかったくせに。





貴「……っクソ」





ふと、父が置いていった通帳が目に入った。


開いてみると、預金残高はおよそ1000万。


稼ぎも特別多い訳じゃないのにこんな額、


私なんかのために…。




.




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作者名:夢乃叉優芽 | 作成日時:2023年3月11日 22時

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