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MoonDust_17 ページ19

〜入間銃兎side〜


Aと出会ったのは、1年前の6月。


夜中だった。




銃「こんな時間に何してるんです?
身分証を見せてください。」




貴「…身分証なんか見せなくても私、高校生だよ。」





生意気な口聞きやがって、クソガキが。





銃「…そうですか。こんな時間なので早く帰りなさい。
子供が彷徨く時間じゃないですよ。」




貴「…帰れない。」




銃「…はぁ?いいですか?危ないから早く帰りなさいと
言っているんです。それにこの時間なら…」




この時に見たAの顔は驚くほど暗く、


光など微塵も感じさせないような顔をしていた。





銃「…失礼ですが、親御さんは?」




貴「?生きてるよ?ただ家にも居づらいし、両親とも
私に興味無いから。ほら。」




彼女が見せたケータイの画面。


高校生が外を出歩くには遅すぎる時間だと言うのに


連絡は1つもない。





貴「…あ、心配して欲しいわけじゃないよ?
でも、帰っても空気みたいで。
居心地最悪なんだよね」





空を見上げ月を眺めるAの横顔は、


この世に絶望しきったような


到底ガキのする顔じゃなかった。




貴「独り言だけどさ…」




Aの話によると、


父、母、Aの3人家族らしく、


父も母も平々凡々な人間らしい。


ただ、Aは、両親とは


性格も外見も容姿も何もかもが違ったらしい。


成長するにつれて、それは明確になった。


家族は以前より自分に冷たくなり、


何があっても心配すらされない。


Aは段々と居場所がなくなっていくように感じた。





貴「考えすぎなのかもしれないけど、周りの子は
門限があって、それを少しでも破ると酷く叱られて。
私は何をしても叱られたことなんて無い。」




銃「…はぁ、送ってやる乗れ。」




貴「…?口調、違くない?」




銃「こっちが素だ。お前みたいなガキ相手に
丁寧に喋っても意味ねぇからな。」





胸糞悪い話だった。


性格や容姿が違うだけで関心すら持たねぇなんて。


このガキが哀れに思えた。


大人しく車に乗ったAは、家に着くまで


ただボーッと外を眺めていた。




《ピンポーン》


母「はい…?」




銃「…こんばんは、夜分に申し訳ありません。
警察ですが、お宅のお嬢さんが補導時間にも関わらず、
外に居たので僭越ながら送らせていただきました。」





.





.

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作者名:夢乃叉優芽 | 作成日時:2023年3月11日 22時

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