優しさがにじゅうよん ページ26
「そだ。ねーねー、トレイくん。“あれ”やってよ。」
ケイト先輩の声に、現実へ引き戻される。
はた、と視線を上げれば、どうやらトレイ先輩がタルトに何かをする様だった。
あれ、とは。
「アレって?」
「お前たち、好きな食べ物はなんだ?」
「…?俺は、チェリーパイとハンバーガー。」
「俺様はツナ缶なんだぞ。あとはチーズオムレツと、焼いた肉と、プリンと〜。」
「強いて言えば…オムライス、ですかね。」
「…紅茶味のクッキー?ですね、?」
「俺はラム肉のグリル・ディアボロソース掛け。」
各々好きな食べ物を口にして、不思議そうに先輩を眺める。
私の隣で、ケイト先輩は嬉しそうにタルトを見つめていた。
何か魔法でもかけるのだろうか。
しかし、食べ物を聞いたところで何も魔法に影響は無いだろう…と思考を巡らす。
が。
「それじゃあいくぞ。……『
ユニーク魔法、その言葉が頭の中をちかちかと点滅した。
そうか。
3年にもなれば、ユニーク魔法が目覚めているのは当たり前だ。
まさか、ドゥードゥル・スート_____落書きというのが、彼のユニーク魔法なのだろうか。
タルトを進められ、一口頬張る。
そして、目を見開いた。
ふわり、と口の中に広がる紅茶の味。
よく近所のお菓子屋さんで買っていた、あのクッキーの味が舌の上に広がる。
もう一口、と噛み締めた。
おいしい。
「凄いですね!味を変える魔法がクローバー先輩のユニーク魔法なんですか?」
「正確には、『要素を上書きする魔法』だな。味だけじゃなく、色や匂いなんかも上書きできる。」
効力は短時間だから、落書きみたいなものだけどな、と笑うトレイ先輩。
能力をぱっと聞いた感じ、寮長のユニーク魔法も上書きできるのだろうか。
もしも、そうなのだとしたら。
トレイ先輩のユニーク魔法の方が、なんだか凄い気もしなくはなくない。
「意地悪リドルの魔法なんかより全然凄いんだぞ!」
「…いや、俺の魔法なんか寮長に比べれば、子供の玩具みたいなものだ。レベルが違うよ。」
ふと、視線をあげる。
どこか思い詰めたように眼鏡を押し上げた彼に、何故か不穏な空気を感じた。
彼は、何か知っているのだろうか。
「あの、トレ…。」
「…さ、今日はもう遅い。タルトを寮長に渡すのは明日にして、寮に戻ろう。」
壁が、厚くなった。
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青碧(プロフ) - かな大福さん» トレイ先輩素敵ですよね!こちらこそ閲覧いただきありがとうございます! (2021年9月12日 21時) (レス) id: 3cff5be0f2 (このIDを非表示/違反報告)
かな大福 - トレイ先輩大好きです。見れて嬉しいです。 (2021年8月23日 13時) (レス) id: 56b58a1cc8 (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 豪炎寺修也推しさん» 初めまして。 ふふ、トレイ先輩素敵ですよね!彼の魅力を存分に引き出していこうと思います笑 そう言っていただけて嬉しいです!更新頑張りますね!! (2021年1月2日 15時) (レス) id: 138836bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - 初めまして、コメント失礼します。最近ツイステにハマり始めた新参者で、トレイくんが素敵だなぁと思ってこちらの作品を目に通させて頂きました。すごい面白いです!これからも見ます、更新頑張って下さい! (2021年1月2日 14時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 蛇口さん» 今回は一年生です…!! トレイ先輩の優しさに酔いしれちゃってくださいね笑 更新頑張ります! (2021年1月1日 20時) (レス) id: 138836bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青碧 | 作成日時:2020年12月31日 20時