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目を覚ますと ページ22

『ん…』

ハッと目が覚めるとそこは兄さんの病室で、寝ていたはずの兄さんはいつの間にか目を覚ましていた。気づけば銃兎さんと理鶯さんもいつの間にかいなくなっていた。

『兄さん、起きてたの?』
「ああ、二時間くらい前にな」
『銃兎さんと理鶯さんは?』
「ついさっき帰った。…っつーか、帰らせた。アイツらもいろいろあっからな」
『そっか』

兄さんの事だ、ずっと一緒にいてくれた銃兎さんと理鶯さんい気を遣ったのだろう。なんだかんだ言って仲間想いだから。
そっと微笑むと、少し喉が渇いたから、飲み物でも飲もうかと立ち上がった。

『ちょっと僕、飲み物買ってくるね』
「おー」

バタバタと忙しそうにする看護師さんなどを横目に、病院内の自動販売機に向かう。そこで自分用の麦茶と兄さん用の缶コーヒーを買って、再び病室へ戻った。

『はい、兄さん』
「サンキュ」

兄さんにコーヒーを手渡してパイプ椅子に座ると、兄さんがコーヒーのプルタブを開けたのとほとんど同じくらいに、僕もキャップをまわした。一口飲むと、蓋を閉めペットボトルを鞄にしまった。

「そういやお前、仕事は?ンな休んでいいのかよ?」
『事情を話したらお休みもらえたよ。こっちの事は心配しないで』
「っつってもよ…俺のせいでお前に迷惑かけるようなことはしたくねぇんだ」
『迷惑は掛かってないけど…心配をかけたことは謝ってほしいなぁ、僕』
「わ、わるい…」
『本当に悪いと思ってるなら、せめて今は安静にしててね』
「ああ」

今兄さんに言ったことはすべて事実だ。僕は兄さんがした行動の所為で何か悪いことが起こったとしても、それを迷惑だと思ったことなんて一度もない。…それに、ずっと兄さんに守られてきたんだから、今度は僕が兄さんの役に立つ番だしね。

「まあ、だとしても今日は帰れよ。それと身体は?変なとこで寝てたからな。痛くねーか?」
『身体は大丈夫だけど…でも、そうだね。今日は帰ることにするよ。一応退院まで毎日通うつもりだから、欲しいものがあったら言ってね』
「おう。その…サンキュな」
『ふふっ。兄さん、それは僕じゃなくて、銃兎さんや理鶯さん、寂雷さんに言いなよ』
「…だな」

立ち上がってぐっと身体を伸ばすと、兄さんに手を振った。少し照れくさそうに笑いながら手を振り返してくれる兄さんに笑い返すと、病室を後にした。

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作者名:眠兎 | 作成日時:2022年1月6日 21時

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