遠慮しがちな真ん中っ子 (ページ12)

今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:32,384 hit

ページページ12

-一郎 side-

あれから家に連れて帰って着た俺は、小さくなったAさんとたまたま家に会った積み木をして遊んでいた。すると、家のドアが勢いよく開く。そっちに目線を飛ばすと、何故か息が上がった二郎と三郎がいた。

「ただいま、兄ちゃん！」
「ただいま戻りました、一兄」
「おう、おかえり、お前ら。帰ってきてすぐで悪いが、コイツの世話を頼まれてくれねぇか？俺も萬屋の仕事があるからな」
『？』

コイツと指差した方向へ二人が視線をやると、すぐさま眉間のしわを寄せる。その表情は二人ともそっくりで、流石兄弟だな、と、苦笑いした。

「その子は…依頼か何かですか？」
「いや、Aさんだ。路地裏で小さくなってんのを見つけてな。そのまま拾ってきたってわけだ」
「「えぇっ！？」」

綺麗な二重奏が部屋に響き、もう一度笑う。当の本人であるAさんは状況をうまく呑み込めていない様子で、指しゃぶりをしながら首を傾げていた。

「これがアイツなぁ…信じらんねえ…すげー、ほっぺぷにぷに」
「何してるんだ、二郎。小さくなったとはいえ碧棺Aだぞ！？」
「三郎、何警戒してんだよ。小さくなってんだから危害なんて加えられるわけないだろ」
「これだから低能は…！どんな姿だろうと、敵のことは警戒しておいて損はないだろ」
「んだと、テメェ…！」

また睨み合い、喧嘩が始まりそうな二人を小突くと、少しだけ説教をする。三郎はAさんを警戒してるみたいだが、二郎の言う通り、この姿になったんだから危害なんて加えられるわけないし、もともとAさんはそんな人じゃないからな。
まぁ、取り敢えず、Aさんのことは二人に頼んでおいたら心配はないか。
そのうち、どうせ左馬刻が迎えに来るだろうしな。

「それじゃあ、二郎、三郎、Aさんのことは頼んだぞ。何かあったら事務所の方に来るか、いなかったら連絡しろ。じゃあな」
「うん！任せてよ、兄ちゃん！」
「この僕が完璧にお世話してみせますから、安心して仕事の方をしてください！」

頼もしい兄弟たちのそんな言葉に大きく頷くと、階段を使って事務所に向かう。事務所でソファに腰掛けた。
二郎も三郎もあんな頃があったと思うと、感慨深い。まだまだガキっぽいところもあるが…大きくなったな、あの二人も。