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-左馬刻 side-
「おいウサポリ公！」
「なんですか、騒々しい」
「事件だ、事件！テメェサツだろ！手ェかせや！」
「はぁ？事件？何があったんです？」
「…Aが誘拐された」
「詳しく聞かせろ」
あのダボからの電話の後、俺はすぐに銃兎に電話をかけていた。仕事中だという事もあってか、心底鬱陶しいみたいに対応してきやがったが、「Aが誘拐された」と伝えると、声音がガラッと変わった。それほどAの事が大事だという解釈でいいのか？
まぁ取り敢えず、細かいことは考えねーようにして、今の状況でわかっていることを一通り話した。
「ほぉ…つまり、山田一郎から電話がかかってきたかと思ったら、Aくんが幼児化していることとともに少しの間預かるという旨を伝えられたわけですか」
「ああ」
「ですが、そこまで心配する必要もないのでは？山田一郎は二人の弟がいます。子供の相手にも慣れてるでしょうし、Aくんとの仲が悪いわけでもないですし」
「心配だろうが！相手はあの一郎だぞ！？」
「まったく…お前は山田一郎とAくんの事になると冷静さを欠くのをどうにかしろ。それに、そこまで心配ならイケブクロまで行って取り返せばいい話だろうが」
「…確かに」
「馬鹿か、テメェは」
「うるっせぇ！」
そうと決まればすぐ行動。ウサ公との電話を切り、舎弟に出掛けると告げると、イケブクロまで車を走らせる。
俺がここまで騒ぐのにも理由がある。
勿論、拾ったのが偽善者の一郎クンだからってのもあるが、アイツの弟は俺の弟であるAのことをよく思ってねぇ。だから、ぞんざいに扱われる可能性もゼロじゃねぇ。そうなったらあの一家をぶっ飛ばしてやるだけだが。
そして何より…
俺様も見てぇ!!
いや見たいだろ、アイツの幼児化！普段からかわいいんだからその何倍もかわいいに決まってる。
アイツが大人になってから、たまに甘えてくることはあっても、ほとんど甘えられない。もっと甘えられたいと思うのが兄の性というものだろ。
待ってろよ、A！お兄ちゃんが今すぐ迎えに行ってやるからな！！
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作者名：眠兎 | 作成日時：2022年1月6日 21時
