6話 ページ8
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「 夏目くん、顔が赤いですよ 」
「 ア? 」
「 ひいっ 」
震え上がる先輩に舌打ちを打って机に視線を落とした
あれからAのことが頭から離れない
どうしてやれば僕に振り向いてくれるか、どうしてやれば僕を意識させられるか
日中他の何かが詰まっていた脳は もはやAだらけになってしまった気がする
「 あのサ 掃除、終わったなら早くどっか行っテ。邪魔 」
「 俺は夏目くんが実験に少しでも集中できるような部屋にしてあげようと……! 」
「 頼んでないシ、望んでもいなイ 」
「 えぇ…だって最近夏目くんずっっっと、その試験管見つめてるじゃないですか…… 」
_無意識に見つめていたのか
手にもっていた試験管を試験管立てに置いてそのまま立ち上がり、先輩を睨み付けて口を開いた
「 とっとと出てけモジャモジャ頭 」
「 語尾に違和感がない、ということは本音ですね酷いっ!」
「 ハイハイそういうことだかラ 」
先輩の背中を強く押して部屋から出して扉が音を立てて閉まる
はぁ、ムカつく……
「 もう帰るカ… 」
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「 なつめちゃん! 」
声が聞こえる
「 これ、つけてよ! 」
気が付けば、懐かしい幼い頃のAが目の前にいて_
花冠を差し出す
そんなAの目の前には幼い頃の自分がいて
心底嫌そうな顔をした僕が花冠を被るとAは嬉しそうに跳び跳ねた
可愛い、可愛いなんて言いながら
どっちが可愛いのやら
多分そんなことを考えていた気がする
「 私、大人になったらなつめちゃんのお婿さんになるね! 」
いや逆、それ逆だから
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「 なんだこの夢…… 」
目から覚めて最初に考えたのはこの事だった
そういえば…
今日Aに呼び出されたんだっけ
時計を確認すると約束の時間までまだまだ余裕がある
休日だからついつい寝過ぎてしまった
話って一体何だろう
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*SSU* - 続き楽しみっ!(^々^)ゝ !/ \ (2020年4月20日 23時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎ | 作成日時:2017年11月16日 19時