【w。r。w。r。d】こちら、名折れ捜査サーカス団員。 (ページ30)

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幼馴染みの残香。ページ30

「...どう？最近の生活は。」

「まぁまぁかな。なんやかんやで楽しくやってるし、不満もない。みんなから見れば非日常だけどそれが私の当たり前だしね」

「そっ...か。」

なんか、久々で話したいのに言葉が出てくれへん、くて。
Aがそっとトントンに目を向けると、彼は赤い瞳を細めて下を向き、虚ろな赤で何かを見ていた。弁当を食べていたAは何か言うべきではないかと少し考えるが、きっと久々の再開の興奮と困惑で言葉が出ないだけだろう。Aはトントンの頭をそっと撫でて笑う。笑い声が聞こえたのか、トントンは僅かに顔を上げて潤んだ瞳をAに向けた。

「...大丈夫だよ、あと一週間はいるからその間に色んなこと話そうよ。」

「あーっ...むり、好きやわありがとう」

トントンはAに抱きついた。まだ弁当を開けていないトントンを少し呪いながらもAは呆れたような反応をする。どうやらAの中での優先順位は弁当が上らしく、落とさないかと弁当に視線を向けていた。

「ちょっ、お弁当危ないから！」

「一応気にはしとるから大丈夫やって。」

Aの背中に顔を埋めて唸るトントンにAは大きなため息をつく。昔からトントンはグルッぺンよりもAにベッタリだったが、今も変わらずくっついている彼にAは呆れつつも自分の腰にあるトントンの手に自分の手を重ねた。少しひんやりしたAの手にトントンがぴくりと跳ねる。

「...これ、チーノに見られたらやばいだろうなあ」

「でもアイツ、自分の目の前で男と遊ぶ約束しとってもなんともなさげやったやん」

「家帰ってからひたすらに甘えられるんだよ、めちゃくちゃ作業がしにくい。」

思い出したくもないとでも言うようにAは頭を抱えるが、トントンはそれを見ても離す気は毛頭なくAを抱きしめる力を強めた。