はじまりはじまり ページ2
ハロウィーン一週間前。
高く聳え立つタワーオブテラー。
普段は風の音がタワー中に響き渡るくらい静かなそこは、その日はとても騒がしかったのです。
普段よりも騒がしいその場所には、物語からやって来た者たちが集まっていました。
白雪姫やピーターパン、101匹わんちゃんにアラジン、リトルマーメイド、マレフィセント、ヘラクレス、不思議の国のアリス、はたまたノートルダムの鐘。
それぞれの物語から来た10人の男女。
あぁ、勘違いなさらないでくださいね。
彼らはヒーローやヒロインと呼ばれる眩しい存在ではございません。
どちらかというと、悪役やヴィランズと呼ばれる闇の存在でございます。物語そのものに登場こそしないものの、物語の悪役をマスターとするヴィランズ。
今年も、マスターヴィランズたちが人間を自分たちの世界へ招待しようと、手下をこの人間界へ寄越したのです。
「Well Well……あぁ、今日も私は美しい……。そう思わないかい?ジョー。」
鏡を眺め、そこに写る自分にうっとりする男。彼はマレフィセントを敬愛する彼女の手下、マルフィ。
「へーへーそうだな。……その前にあそこの二人止めたらどうだ。」
マルフィに適当な返事を返し、目の前で起こる喧嘩に呆れた目を向けるのは、海の魔女アースラの一番の手下エイトフットのジョー。
「あれ〜?今年もクソ林檎いたんだ〜?てっきり腐ってて来ないと思ったよ〜。」
笑顔でこそいるものの、目が全く笑っていない頬のハートマークが特徴的な男は、ハートのクイーンがマスターであるジャックハート。
「おや、いたのか。小さすぎて見失ってしまだたよ。貴様こそ、まぬけなミスで首を跳ねられたのかと。」
ジャックハートに売られた喧嘩をすまし顔で買う背の高い男。毒々しい林檎を手に持つのはウィックドクイーンがマスター、アップルポイズン。
「せっかく久しぶりに皆集まったんだから仲良くしようよ〜。親友〜、りんご〜。」
バチバチと間に閃光が飛び交う二人を宥める、服にブチ模様が入った彼は、毛皮好きのクルエラの手下のMr.ダルメシア。
これが一年ぶりに集まった彼らの日常風景です。レディーの方々も紹介したいのですが、今いるのは彼らだけなようで。
おや、もうすぐこのお話の主人公が到着するようですよ。
ええ勿論、あなた様でございます。
それでは、邪悪な良い悪夢を。
__Happy villans__
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作者名:花吹雪、 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年12月30日 0時