10.蛙 ページ10
そんなもの知らないのだよ、とツーンとした態度をとる真太郎。
こんにゃろ、いつか絶対仕返ししてやる。
こっそりとしかし確実に、復讐を決めたとき、机の上にドンと蛙の置物が置かれた。
置いた当人はたった今復讐を決めた人物だ。
「……真太郎なにこれ。」
「…蛙の置物なのだよ。」
数秒の沈黙のあとたずねると、見て分からないのかと言いたげな視線とともに答えが返ってきた。
「それぐらい分かるわッッ!!馬鹿にしてんのか!!!」
「馬鹿なのは事実だ。」
痛いところをつかれうぐっ、と呻く。間違ってはいないがもう少しオブラートに包んでもよかったんじゃないか。
「で、これは結局なんなの。…まさか」
「おは朝のラッキーアイテムなのだよ。お前も俺と同じ蟹座だろう。家に2つあった。やるのだよ。」
なんでも今日の蟹座の運勢は悪いらしく、持っていたほうがいいとのこと。
いやでもこれ持って歩くの恥ずかしくないか?
考えてもみろ?蛙の置物を持った男子生徒が1人歩いてたら誰も近づかねえだろ!!
やだよ!!!友達ほしいよ!!!!
「いらなかったか?」
1人悶々と考えていると上から声が聞こえてきた。
そんなこと聞かれても、
「いるに決まってんじゃん。」
大切な友達が自分のためにくれたものをいらないなんて、あるわけがない。
「それになんか可愛いね、こいつ。」
人間は、最初は変だと思ったものでも、ずっと見ていると愛着が湧いてくる。蛙の置物だって例外じゃない。
「僕、こいつにケロ太って名前つけるわ。」
「ネーミングセンスが安直すぎるのだよ。」
僕的には割とガチで名前をつけたのだが、真太郎からすればおかしかったらしい。鮮やかなツッコミをいれられてしまった。
「そんなこと言うなら真太郎が持ってるそいつにも名前つけてやる!!」
そう言って真太郎が持っていた同じ形の蛙を奪い、何がいいかなと考えはじめる。
後ろでこらっ、返せという声が聞こえるが、すばしっこさには自信があるので取り返されることはない。
「あ、いい名前を思いついた!!」
「どうせろくなやつじゃないのだよ。」
「失礼な、まぁ聞いとけ!こいつの名前は
ケロ助だ!!!」
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作者名:花吹雪、 | 作成日時:2018年10月23日 21時