きっと、何度でも。【国木田独歩】リク ページ8
…貴方に会って、光と温もりを知った。
だからこそ、
この気持ちを勘違いしてはいけないのだと、そう心に蓋をする。
〜・〜・〜
「国木田さん、先日の報告書出来ました。」
そう言って手渡せば、
私の恩人ーーー国木田さんは、ひと通り目を通してから満足げに笑った。
「よく出来ている。
…よくこの短期間でここまで仕事を覚えたな、A」
「いえ、国木田さんの…お陰です。」
ずっと虐げられ、一人で生きてきた私は
とある事件でこの人ーーー国木田さんと出会い、
手を引かれるまま、この探偵社に入った。
この人がいてくれたから、この人に会えたから、
今の私がある。
感謝してもしきれない、恩人。
…それで良かったのに。
「…そういえば、今日は髪飾りをつけているのか。」
「はい、…与謝野先生に見繕ってもらって。」
「よく似合っている。」
「あ、りがとう、ございます…」
…ああ、狡い。こんなことを言うなんて。
恩人だと、そう割り切っていたのに。
貴方がそうだから、私はーーーーーー
「好きです、国木田さん。」
そう、好きに………あ、
「(拙い、口に出て…っ)」
「A…おま、え…」
「っ…ごめんなさい!」
そう言って事務所から逃げるように飛び出す。
ーーー伝えてはいけないのに。
あなたには理想があって、信念があって、
私はそれに救われただけで、
決して理想になれる訳では無い。
知っていたし、それでいいと割り切っていた。
事務所の前で立ち尽くす。
「ごめんなさい、国木田さん」ともう一度呟こうとした時、
ガチャりと扉が開いた。
「…ここに居たか。」
少し安心したようにそういう国木田さん。
こんな状況でも私を心配してくれていたのか、と
そう思うとまた跳ねる。
こんな感情、あなたに出会うまで知らかった。
「…すみません、国木田さん。あんなこと、」
「やめろ。お前にそんな顔をさせるために、あの日助けたわけじゃない。
それに、
…嫌ではない、いや違うな。
嬉しかったぞ、俺は。」
「え…?」
顔をあげようとすると、そのまま抱きしめられる。
「…お前を悲しませるのは俺の理想ではない。
それにな、俺もお前に……」
あの日私に差し伸べてくれたあの暖かい手が、
今度は私を抱いている。
「すまん、今日はもう我慢できそうにない。」
ーーーーーー私きっと、何度だってあなたのその手をとる。
相棒【国木田独歩】→←望んでもいいのなら。【織田作之助】リク
87人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねぎ。(プロフ) - こんばんは!お久しぶりです。またリクエストしてもいいですか?最近中也にハマってしまって。文乃さんの書く中也短編が読みたいです!お時間あるときでいいのでぜひよろしくお願いします!!! (2017年12月24日 23時) (レス) id: c5589df126 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 書いて下さってありがとうございます。凄く感動しました。これからも応援しています。頑張ってくださいね。 (2017年12月21日 10時) (レス) id: 860abbe074 (このIDを非表示/違反報告)
夏姫 - 太宰の妹幼女主12才久と仲良し太宰をにぃに中也にぃと呼んでる太宰は主が久と仲良くするのが気に入らないが主は久と仲良し。太宰は主に溺愛お願いします。 (2017年12月18日 20時) (レス) id: 10c4a5c371 (このIDを非表示/違反報告)
淀川文乃(プロフ) - 夏姫さん» そう言っていただけると本当に嬉しいです!また是非お願いします(^O^) (2017年12月16日 22時) (レス) id: cdf7dc42de (このIDを非表示/違反報告)
淀川文乃(プロフ) - あかりさん» リクありがとうございました!ご期待に添えていれば幸いです(^^) (2017年12月16日 22時) (レス) id: cdf7dc42de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:淀川文乃 x他1人 | 作成日時:2017年12月11日 23時