憧れ、じゃなくて好き。【赤葦京治】 (ページ14)

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好き。14 赤葦side ページ14

あの日、歌恋と会ってからAと全然会っていない。

それ以前か、なぜか避けられてる感じがした。

昼休み。

昼ご飯を食べ終わってレポートを済ませようと、図書館へ行った。

すると、目の前の女子が本を三冊中一冊を落として俺はしゃがんで取った。

「あ、すみません。」

赤葦「いえ...。って、A？」

顔を上げれば、Aの顔があった。

道理で後ろ姿が似てるなと思った。

A「あ、ごめんっ...。」

赤葦「ちょ、A！待って！」

俺に謝って、逃げ去ろうとするAの腕を掴んだ。

隅っこの人気のない場所。

俺はAに質問した。

赤葦「なんで、俺から避けるの？」

A「そ、れは...。」

赤葦「それは？」

Aは目を泳がせながら誤魔化した。

Aって昔からそうだよね。何か隠し事とかヤバいと思ったら目を泳がせる。

赤葦「何年、一緒にいると思ってんの。」

A「そのこと、何だけどさ。」

赤葦「そのこと？」

すると、考えている暇もなく久しぶりにAからのキスをした。

そっと不器用だけど、優しいキス。

何日振りだろう。

そんなことを考えていると、Aはポロポロと泣きながら言葉を告げた。

A「今まで、ありがとう...！楽し、かったよっ。」

そう言って微笑みながら、俺に背中を見せて図書館を出た。

え、今までって？楽しかったって？

なんか、俺。フラれたみたいじゃん。

赤葦「何でっ...。」

思い当たる節はいくつかある。

だけど、それよりもずっと胸が痛い。

Aの気持ちに気付かなくて、ごめんっ。