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・
そしてその次の日、
私は迎えにきた両親と一緒に、病室をあとにした
「ありがとうございました、」
「お大事に、Aさん」
病院のエントランス、担当医が少しだけ寂しそうに笑う
そんな顔をしたいのは、私の方なのにな。
ここを離れがたくて、思わず病棟を見上げた
「A？行くわよ」
ぼんやりと視線を上げたままの私に、
車に乗り込んだ母親が、声をかけてくる
「………うん、今乗るから。」
小さな声で返事をすると、車のエンジンがかかった
廉さん、私、
君がいなくても、生きていけるのかな。
やっとの思いで乗り込んだ車の中は、
懐かしいようで、あまり知らない匂いがした。
・
「実はな、A」
車を走らせて10分くらい経った頃、
重苦しい沈黙を、運転席の父親が破る
「………うん、なに？」
「………私たちは、お前の転院と同時に引越すことになっているんだ」
なんて。突然聞かされた、そんな事実
「……そう、なんだ、」
いろいろなことが目まぐるしく変わっていって、もはや着いていくのが難しい
家のある場所とかは何も覚えていないから、あまりつらくはなかったけれど。
「どこに引越すの？遠い街？」
「そうだ。都心にだいぶ近いところに移るんだよ」
「………ふうん、」
興味がなさそうに返事をした私を、こっそりと振り向くふたりの視線
窓の外を見ていると、ふと、ひとつの疑問が湧いた
「……ね、私たち、どうして引越すの？」
ただ単に、気になったから。
特に深い理由もなく、その質問を投げかけた瞬間、
両親の表情が、固まってしまった。
「………なに、その反応、」
「いや、まあ、」
「……そのうち。そのうち話すわ、ね、A」
なぜか、とても苦しそうに話を終わらせようとする母親
大人って、いつもそうやって、
結局最後まで、何も教えてくれないんだ。
「………、そう、」
失望と、疑問と、不安。
ちっとも楽しくない感情を、たくさん抱いた私を乗せて、
車はどんどん街の中を進んでいく。
過ぎていく街並み、歩いている人たち
そのどれを見ても、魅力的に見えなくて。
私は本当に、こんな世界を生きていたのかな。
知らないから、覚えていないから、
わからない。
あのまま、病院で廉さんと居たかった。
なんて。そんな選択が、許されるわけなかったけれど。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
